ぼくは、だいふく。

一白

第1話

ぼくは、だいふく。


別に、和菓子の大福饅頭のことじゃない。


そういう名前をつけられたハムスターだ。




ぼくは、ペットショップ生まれ、ペットショップ育ち。


恵まれた環境の下、すくすくと大きくなった。


一緒に生まれたきょうだいたちと、ご飯を食べ、固まって眠り。


敷き藁を掻き分け、回し車を回して、元気いっぱいに育った。




そうして、いつの日か、きょうだいたちは次々と人間の家々へと買われていき、ぼくは、ペットショップにぽつんと残されていた。


どうしてぼくだけが残っているのかは、よく分からなかったけれど、もしかしたらきっと、ぼくの体が、他のきょうだいよりも大きかったせいかもしれない。


ぼくは、スノーホワイトという、ジャンガリアンハムスターの一種で、比較的、小柄なハムスターのはずなのだ。


でも、他のきょうだいよりも食べたご飯が多かったのか、一回り……、もしかしたら二回りくらい、ふくよかだった。




いっぱい運動をして、少しは痩せてみようかな、とも思ったけれど。


ペットショップでは相変わらずご飯が食べられるし、汚くなったところの掃除もしてくれるし、特に不満もなかった。


だから、ふくよかな体のまま、のんびりと日々を過ごしていた。




後からペットショップに来た小さなハムスターたちをも、何回も見送っていたぼくだけれど、ついに、ペットショップから旅立つ時が来た。


そして、ぼくは「ちょっとおデブな売れ残りハムスター」から、「だいふく」へと名前を変えたのだった。

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