読者として物語に介入する気持ちになれる稀有な作品


 説明は要らない。説明に頼らない
冒頭〜終わりまで駆け抜けるような筆さばきが
鮮やかかつ、読み手側に想像させる範囲を残している本作はまさしく書き手と読み手があって
初めて成り立つ物語となっている。

駅のプラットフォームに立って、前列に立つ一組のカップルの会話に耳を傾けたような、前後背景はわからずとも、部分部分で、汲み取れるドラマを体感しました。