殺し屋兼高校生、中二病少女に勘違い!

海山蒼介

プロローグ

プロローグ

 ――勘違い。

 それは、個人のそれぞれが抱く『何か』を、間違った状態で思い込んでしまうという過ちであり、我々は生きてる中で必ずその状態に陥ってしまう事がある。

 この勘違いというものは非常に厄介なもので、合うべきでなかった辻褄が偶然にも一致する事により、その個人は対象をより深く思い違いしてしまうのだ。


 「間違い無い……、この女……――!」

 「間違い無い……、この男……――!」


 「「――俺(私)と同じ世界の人間だ‼」」


 そして今、教室というこの狭い空間の中で、また新たに一つ、勘違いが生まれてしまった。


 ――この女……、ここで殺すか⁉


 一方は『』に身を置きながら、自分と同じ『』の闇の中を彷徨っているのだと勘違いし。


 ――フッフッフッ……、精々私を愉しませてもらおうか!


 一方は『』に身を置きながら、自分と同じ『』の闇の中を彷徨っているのだと勘違いする。


 加速していく過ちの渦。出口の見えない間違いのトンネル。

 彼等はその中でどう迷い、限られた時の中でどう抜け道を見付け出すのか。


 これは、互いが互いを誤解し合い、己で創り出してしまった勘違いに振り回されていく……。

 空想を知らない少年と、空想に溺れた少女の話である――

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