第33話 お供えしたらないなった

 食後は酸味のない果物を中心に液体操作で絞り出した果汁と、33階のジャージ乳牛が落とす牛乳と43階のサトウイチが落とす砂糖で創ったフルーツ牛乳を振る舞った。

 配合バランスの粗さはあるものの良質な材料から作られたフルーツ牛乳は、店売りのパック入りとはまた違った良さがあって好評だった。

 いや、そもそも店売りを知っているのは俺だけなのか、ならこれは純粋に好評だったのか。


 △△▽▽◁▷◁▷


「食休みの間に、風呂の順番と就寝の部屋割りをどうするのか相談しようか」

「ああ、それなら我等がご主人様シバ、入浴も就寝も全員一緒で構わないか?」

「できれば断りたいかな」


 俺はノーと言える日本人だしな、最近まで中2だったからその名残なだけなんだけど。


「なに、ネネとエルネシアからは了解を得て是非とまで言われているのだ、それに女達からの誘いを断って恥をかかせるものではないぞ?」


「2人も恋人が居てまだと欲しがるほど俺は飢えてないからな、女に恥をかかせるなと言われたところで断る準備はできている。だがエルネシアもネネも是非と言った理由もあるだろうからその申し出、受けさせてもらおう」


「素直に他の女ともしたいって言えばいいのに」

「なにゼオラ、そう言ってやるな、大人でも子供でもない年頃の少年とはそういう面倒なものなのだ」

「ちょっとゼオラ、それフォローになってないわよ」


「シバさんなら全員で満足してくれると信じてます。むしろこの人数でも全滅するとか考えたくありません」

「大丈夫よエルちゃん、これまでにない最強の布陣なんだから必勝の志しで挑むのよ」


 おそらくこれはレオーナ達4人の一夜限りの恩返しなのだろう。

 クズから助けられ、自分達で衣食住を用意できる土地まで連れてきてくれたんだからという、一夜限りの恩返し。

 明日以降村作りが始まったら知人、または他人の関係になって挨拶や世間話しが精々になるのだろう。


 なら俺も久々の恋人との営みとは別に、彼女達の恩返しも全力で楽しんで目一杯この身で受け止めよう。

 そうと決まれば着衣を倉庫に収納する瞬間脱衣だ!


 クズから助けた男、特に一部の男性達を見て、俺はタワーさんでもピラー君でもなく、かつてはシャフト君だったんだと気付かされた、悔しい。

 しかしネネお姉さんの棒育乳により、年齢より上の16スゥェンチミートルにまで成長できたんだ。

 もっと頑張れば20代前半にまで成長できると聞いてるので、がっつかずに成長もゆっくり楽しんで色んなサイズを堪能するのも悪くないだろうと思ってたりする。

 恥じるものなど何もないと、悠然とした歩きで1人風呂へと向かう。


「まあ普通だな、本当にあれにネネが?」

「サイズだけなら以前は小さかったんだけどね、重要なのは底なしの体力と回数なのよ」


 ぐふっ、もっと小さかったって……

 雄々しく悠然としていたはずのそれは、心傷付いて通常モードへシフトチェンジしてしまった。

 これはもう早急にサイズアップを果たさねば!!


 △△▽▽◁▷◁▷


「あっひぃぃぃ〜、今ダメ、今動いちゃダメ〜〜〜……」

「こんなの知らなかったの、ああんもっと、もっと〜〜〜!!」

「あのっ、ちょっとシバさんんん、今日の主役はレオーナさん達ですから、私はなしでもぉぉぉ!」

「恋人同士よりも優先される主役なんて居ないんだよエルネシア、今夜もたっぷり愛し合おうな」


 気付いたら次の次の日の朝だった。

 回復も状態回復もなんの術も使ってないんだがな?

 最後に最後にともう15巡してたら夕方になったので、食料を箱詰めして室内全域に浄化してから寝た。

 4人からのお礼は、質は最高で量はまあまあ満足いった。


 △△▽▽◁▷◁▷


 昼過ぎに目覚めてもまだ全員寝ていて箱の中の食料は欠片も減ってなかった。

 休憩所から出て変身して家まで走る。

 収納したので家のあった場所で大声を出す。


「精霊達よ聞こえているか、俺達はここに村を作るから井戸を掘る、精霊達には俺の魔力を対価に周辺に地下水脈の支流を引っ張っきて欲しい、地盤沈下しないように支流だけにしてくれ、対価が足りないなら日本でもよく食べられていたピザとラザニアも差し出そう、どうだ?」


 倉庫からテーブルを出し皿にピザとラザニアを乗せていく。

 魔力と合わせてピザもラザニアもモリモリ減っていくから、そのまま飲食可能なドロップアイテムは無差別に出していった。


 今日まで魔力切れしまくったし、凶熊倒したし、ダンジョンでもモンスター倒しまくったから魔法使いもレベルアップしてるんだろう。

 山と大河を作られた時よりも魔力の使用量は多いのにパーセンテージで見ると減りが少ない。

 それでも体力が9割強も減っていたのには驚いた。

 山と大河よりも消費する地下水脈の支流ってなんなの!?


 飲食物だけじゃ足りなくなった貢物は絹糸、革類、金属等様々な物が無差別に並んでいる。

 それらとテーブルを収納したらテーブルの下に1枚の羊皮紙が落ちていた。

 ただその羊皮紙には知らない言語の文字が書かれていたので、もしかしたら精霊からのメッセージなのかもしれない。

 それから日が沈むまで変身したまま寝転んで、魔力の回復を待っていた。


 あっ、凶熊討伐前より魔力が一気に増えた理由って、変身したら凶熊の魔力量も上乗せされてるのか?

 それとも生命力、体力、魔力は素の状態ですでに上乗せされている?


 検証なんて面倒だしいいだろ。

 魔力切れ直前まで消費して回復を待ってから、変身後の魔力量を調べる野にまた消費する。

 それで前後の魔力量が同じだったら、魔力切れを1回しなかっただけ損になるしな。

 頭痛と虫歯と食中毒と手術後の低気圧の痛みなんかを纏めたような苦しみの魔力切れを、しないのはもったいないって思う俺。

 い、生きるために必要な効率厨なだけですから。


 今日中に奴隷達、以下村人を出す予定だったけど食料ゼロなんで延期して、この後またダンジョンを周回してドロップアイテムを集めないと。

 休憩所には……顔出さなくてもいいか、時間足りないし。

 まったく、長い夜になりそうだぜ。

 昨日ほどじゃないがな。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る