第9話 オリジナル魔法3

「ここが最後の設備のある部屋だ」

「ここは普通の1室みたいですけど、別に用意してあるんだから、何かあるんですよね?」

「正解、そうここは風呂だ」

「お風呂ですか!? 私1度、入ってみたかったんですよ!!」


 あっ、中世……


「脱衣所とか用意してないから、最初の部屋で脱いで一緒に入ろうか、風呂にはルールがあるからな」

「はい、わかりました!」


 ってー、はやっ!?

 狭い家なのに走ってったよ、よっぽと風呂が楽しみなんだな。

 遅れないように急ぎ部屋に向かい服を脱ぐ。

 美少女の、生脱衣、風呂が楽しみで、羞恥心を忘れている。

 が、眼福やぁー。

 ガン見したまま神に感謝した。


「ほらシバさん、速く行きますよ」


 俺の着替えは着たまま倉庫に収納するだけなんで、生脱衣の鑑賞中に終わってる。

 全裸の男の手を引く全裸の美少女。

 ここはエデンか?

 俺達は新世界のアダムとイブだったのか?


 風呂の湯を入れる前にエルネシアが先走ったので、急ぎ風呂を入れる。


「水壁、水柱、水盾」


 何度か繰り返して8割まで水を満たした。


「オリジナル魔法、熱操作!」


 説明しよう、熱操作とは火と氷属性の合成オリジナル魔法で、燃焼の加熱と凍結の冷却を自由に実現させられる魔法なのだー!!


「とりあえず38度くらいにはなったかな?」


 熱操作は触れなくても可能なので湯気の量から推測して、手を入れて湯温を確認する。


「エルネシア、風呂に入る前には全身を洗って汚れを落とし、湯船に汚れを持ち込まないようにするのがルールだ」

「はい!」


 直立姿勢で俺の言葉を一言一句聞き逃さないよう真剣なエルネシア。

 当然、隠してない。


「1度出て次までの時間が短ければかけ湯といって、体に湯をかけて多少ついてるかなって程度の埃なんかを流す程度で構わない」


「はい!」

「風呂桶も用意してあるから真似してみ」

「お借りします!」


 片膝立ちになってかけ湯するエルネシア。

 オゥ、ナイスヒップ。


「かけ湯には湯の温度に心臓を慣らす意味もあるから、いきなり入るとそれまでとの温度さが心臓に悪いんだよ」

「はい、覚えました!」


「んじゃ、先に入っていいよ」

「ありがとうございます」


 風呂に入るには足を上げるしかない、つまり!!

 ヤバイヤバイ、熱操作熱操作。

 ちょっと冷めてて寝てなさい、お前の出番はまだ先だから。

 そのために浴槽の縁を幅を50センチにまで広げてあるんだから。


 風呂に喜んだエルネシアとワンチャン狙っていますが? なにか。


「熱っ、なるほど、少し熱いんですね、これは心臓の話しも納得です」


 浴槽の大きさはそこまでじゃなく、横幅は

 深さは一般人に合わせたらしい日本と変らない深さで、足を伸ばすためだけに長さは余分に150センチにまで伸ばしている。

 つまり2人で入ると向かい合って足を少し曲げるか、2人重なり合って足を伸ばすのどちらかしか方法はない!!


「ふぅー……お風呂は天国だと聞いていましたけど、これは否定できませんねー、あー……」


 急募、入浴時の長髪の結い方。


「エルネシア、あまり長い間湯に髪をつけていると髪が痛むらしいから、結い上げた方がいいぞ」

「あっそうなんですね、わかりました、ありがとうございます」


 言ってゆっくりと髪を束ねて後頭部で纏めていく。

 いや何これ、正直うなじに色気なんてって思ってたけど、マジ色気凄いわ。

 火照った肌と水滴の効果かな? 初めて見るわけでもないのに、彼女のうなじにもの凄い色気を感じてる。


 熱操作! 熱操作!!


「そろそろ俺も入るよ」

「えっ……じゃあ私は上がりますね……」


「いやいや、風呂は1人でも2人でも、何人で入っても問題ないから、出る必要はないよ」

「あっそうなんですね、よかったー」


 立ち上がろうとした彼女の肩を押し留めて俺も縁を跨いで湯船に入る。

 もちろん跨ぐ時はエルネシアに体の正面が向くようにして。

 その瞬間、目を見開いたのをしっかり確認した。

 エルネシアの向かい側に座り、まずは会話を楽しむ。


「初めて風呂に入った感想はどう?」

「とても素晴らしいです、こんなに気持ちいいだなんて思いもしませんでした」


「だろ? でもこの入り方じゃ満足に足が伸ばせないだろう?」

「ええ、そう……ですね、伸ばせなくもないけど、ですね」

「そこで昔の人が考えた風呂のルールが、恋人や夫婦は重なり合って風呂に入る、だ」

「えっ? あの、それってもしかして」


「違う違う、座るだけ。でも服と装備は充実してるし、今夜からは家も頑丈で風呂付きにまでなった。あとは1番必要な食料確保の問題が残ってるから、デキちゃったら動けなくなるから我慢しないとね」


「そうですね、そうですよね……でしたら、他の方法があったりしませんか? 実は私そういう話しに疎くて全然知識がないんです」


「ありがとう、お言葉に甘えさせてもらうよ。でも今は純粋に風呂を楽しまないか? ほら、おいで」

「はい」


 その後はピンクな空気になる事もなく、ゆったりと腰の上にあるナイスヒップや、艶かしい背中やうなじに等を、触れずに当たってたり見たりして堪能した。


 △△▽▽◁▷◁▷


 風呂から上がるとゴワゴワからかなり柔らかく加工したタオルで体を拭いて、倉庫から出した総植物製マットレスを敷いてそこで寝る。

 エルネシアにはロクジュウキュウとか、ミルクは飲んでお掃除とかの礼儀作法もしっかり教えた。

 舌と顎が疲れて満腹になったらしいので今夜はもう終わりか、残念。

 まだ足りないんだけどなー……


 あとエルネシアはかなり敏感さんだった。

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