灰色の雨

しとしと雨が降りしきる

心を塗りつぶすような灰色の雨だ


ぽっかりと空いた空虚な穴

底の見えない谷間に


ピトピト雨水は溜まり

灰色の海がやがて出来た


粘つくヘドロのように

おどろしく


愛も夢もエゴも絡めとられた


真冬の北極海の如く

全てを冷たく焼き尽くす灰色の海が


生き延びる上で下らない

ものとやらを凍らせる


愛も 夢も エゴも

自らの重みで沈み行くのさ

灰色の海を


感情は炎の如く立ち昇り

熱く熱く灼熱するが


何を燃せばいいのか判らず

宇宙で点けた蝋燭のように


その火柱は丸く丸くなり、

やがて静かに小さく消えた


僕の頬を伝う雫は、

涙かそれとも


心を締め付け 呑み込まんと猛る

灰色の雨か


世間で所謂

負け犬は 独り天を仰ぎ


虚しく切なく

吠えたてた

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