雨の檻

雨が降っている ざああざああと

空に立つのは積乱雲 暗く暗く青を飲み込んでいく


何も見えない 分からない 視界は灰色に閉ざされた


傘は既に機能不全 私の身体も灰色に侵され始める

じわりじわりとからだを こころを

灰色がひろがってゆくのだ


前後不覚の五里雨中

私はどこに向かえばいいのだろうか


迷い足掻き 灰色の世界で溺れてゆくのだ


手を上に伸ばすも先の折れた鉄の棒 何物にも認識されることは無い

すり抜けて垂れ落ちる灰色の水は 私の身体を満たし始めた 


じんじんと手先の感覚が奪われてゆく 冷えてゆくのだ

からだが こころが


何か 何でもいい 言葉をと

口を開けばゴボリと灰色の水が溢れだす 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る