普段の清水優依


優依はクラスでは大人しい。

自分の席で気配を消し、文庫本を読んで人を寄せ付けないようにしている。


その理由は単純に、彼女が人見知りな上に、思ったことを口にして、相手を怒らせたりすることが多いからだそうだ。


優依は小学生の頃に、クラスの中心の女子が香水を付けて学校に来た時に「トイレの匂い」と言って、その女子を怒らせて、その女子のグループに虐められた。


その経験から、優依からは周りとは不用意に話さないようにしている。


それと優依はクラスメイト数人に、心の中でかなり微妙なアダ名を付けている。


うっかりそのアダ名で呼んだら、大惨事になるアダ名だ。


「優依?」


授業後終わり、短い休み時間、スマホが震えたので、確認すると優依と二人のグループチャットに通知がきた。なんだ? と、思って確認すると。


『ねぇ、タラコ唇、彼氏と別れたの? 何か機嫌が悪いけど』


「……」


タラコ唇は蔵田というギャルっぽいクラスメイトのことだ。

ぎゃー、ぎゃー、喧しいので俺は出来るだけ関わらないようにしている。


『そのアダ名を絶対に本人には言わないように』

『うん、分かってる』

『それと蔵田は直ぐに新しい彼氏をまた作るさ』


顔は悪くないからな、蔵田は。タラコ唇と言われているがそこまで大きいわけではないし。


『そう言えば、前から思ったけど、タラコ唇って処女だと思う』

『いきなり何?』

『だって、胸あまり大きくないし』

『割りと酷いな!』


優依はそこまで自身の胸を嫌っていないが、中学の時に電車で痴漢に合ってから、実は大きな胸を隠す努力をしている。


着ているブレザーの制服はサイズが大きいし、二次元の爆乳のような大きさと形の胸は海外のブラでガードしている。


体育ではサイズの大きいジャージで誤魔化している。

その努力もあって、周りの男子からはあまり目立っていない。


一年男子の巨乳ランキングでは、名前が上がらなかった。


『おっぱいのこと考えてた?』

『……はい』

『昼休み、文芸の部室、ごはん食べたらおっぱいマクラしてあげる』

『ありがとうございます! ありがとうございます!』


俺はスマホをしまってウキウキ気分で、次の授業の準備をした。


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