第7話武蔵野にて。

祖父の葬儀を終えた。


ばあちゃんは、疲れたと横になった。


親戚や友人たちの食事の用意やら挨拶回りやら。


やる事はたくさん。


洗い物に追われて居たら

肩をトントンとされた。


精一杯の愛想いい顔で

はぁいと振り返った。


ターちゃん。


ターちゃんは、メモ帳を取りだしペンを走らせた。


「お疲れ様

久しぶりだね。

すっかりお姉さんになったね。」



私は右手を差し出し握手をした。


「ターちゃん元気だった?」


ターちゃんは、くしゃくしゃと笑って頷いた。


メモ帳を使って

近況報告をしあった。


来月3人目の子供が生まれるのを

じいちゃんに見せたかったこと。


ばあちゃんが心配だねって話をした。


当たり前の会話


当たり前じゃない会話。


筆談ってなかなか

素敵だなと思った。


みんなを見送った。



写真のじいちゃんは、

やはり優しく笑っていた。


ジョンの写真の隣にじいちゃんの写真が並んだ。


ジョンは、よろこんでいるかな??


じいちゃんー!!って駆け寄って

スリスリしてるかな?


そんな事考えながら

泣いた。


仕方ない、やる事精一杯やった。


何も出来ず

急死させるより、うんと納得して

やり切ってお見送りできた。


だけどやっばりすごく



すごく寂しくて


悲しくて


辛かった。


私はばあちゃんの部屋へ覗きに行った。



おにぎりと味噌汁をお盆にのせて。


「ばあちゃん食べよう」


ばあちゃんは、布団に座りながら

アルバムを見ていた。


「じいちゃんと結婚した頃のだよ。

これ、新宿でデートしたの。ハイカラだったんだよ。」


ばあちゃんは、目が腫れていた。


力なく笑いながら写真の説明を一生懸命してくれた。


「愛してるんだね、、」


私は泣きながらばあちゃんをハグした。



小さな小さなばあちゃん。


痩せたなぁ。



お布団を敷いて


ばあちゃんと一緒に眠った。


夜中目が覚めると、


アルバムから1枚写真が取り出されていた。



若い頃の、じいちゃんとばあちゃん。


じいちゃんがばあちゃんを抱き寄せ2人はこれでもかと笑っていた。


写真の裏にじいちゃんの字で



「武蔵野にて。愛しい人と」


と書かれていた。

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