砂鉄の匂いが壊れた場所で、重い輝きの花は咲いている。かつて造られていた花に似せて、色褪せるまでそこにある。

 夢を保存する言葉を持たない。唯一の孤独な花たち。月を知らない砂鉄の海で、見えない風に沈んだままの、粗末な生き物。

 だれも悲しくならない。花は枯れて、消えてしまうのだから。

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