第37話 イドンテ4

男の頭を鷲掴みにして、引き摺りながら歩くサトリの後についていく、ドーマンとドンギュー。


街の人達はその場では逃げたが、成り行きが気になっているので、影からまたは家の那賀から、ドーマン達を見ていた。


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「親分大変です! シャミの奴を猿のモンスターが頭を掴んで引き摺りながら、こっちに向かって来ます」


シャミのフルネームはチバ・シャミと言うスリの元締めだ。


「はぁ? 猿のモンスター? ここは街中だぞ?」


「どうも人間2人が一緒なので、従魔だと思います」


「ちっ、直ぐ人数を集めろ! この街で俺達に逆らうとどうなるか教えてやるんだぁ!」


「はいぃ!」


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サトリ達の行く手を遮る男達が現れた。


「おうおうおうおう! うちの組員に何しやがるんだ。俺達に喧嘩売ってんのかぁ! あ゛ぁ!」


1人の男ががに股で肩で風を切って歩いて来た。右手は背中に回していて、明らかに不審だ。


いきなり銃を出すと、両手で構えて銃を撃つ。


「死にさらせぇ!」

ズキュン!ズキュン!


サトリに向かって撃たれた弾……。


サトリは鷲掴みにした男を盾にした為、弾はシャミに撃ち込まれた。


「ぐふっ、おふっ!」

胸から血を流すシャミ。


「ほう、俺と殺し相いをする気だな? 受けて立とう。食い殺せ! 土蜘蛛よ」


ドーマンが叫ぶと男達の後ろに影が出来て、影の中から土蜘蛛が現れた。


サトリがシャミの死体を放り投げる。


「ひぃ」


男達が飛び退こうとしたが、後ろには土蜘蛛が複数居た。


ガツッ!


男達を背中から掴み、頭に喰らいつく土蜘蛛。


「ぎゃああああ!」

ガブリ!グシャ、クチャクチャ……。


「うぉっ、何だぁ?」

「ひぇ」


咄嗟に銃を出して撃とうとする男達、しかし、銃が無い。


「じゅ、銃が無い!」

「どうなってんだぁ」

「ひぃ、助けてくれぇ」


「これかしらぁ」

ドーマンの隣で両手に銃を抱える女がいた。百々目鬼だ。


「お前等は、何者だぁ」


「死に逝く者に名乗る名は無い!」

ドーマンは言い放つ。


「俺達がお前に何をしたぁ?」


「仲間の財布を盗んだのでな。お仕置きに来た」


「さ、財布ぅ?」


「良いから、喰われて死んでおけ!」


土蜘蛛に喰われる男達。

それを見詰めるドーマン。


「あそこだぁ!」

後ろから衛兵達が駆け付けて来た。


街の人の通報で駆け付けて来たのだろう。その数10人。


「貴様らぁ! ここで何を?」

「げっ! モンスターだ!」

「全員、銃を構え!」


前列の衛兵達が盾を構える。

後列の衛兵達が銃を構える。


「ほう、優秀だな。割と早いじゃないか。」


ドーマンが衛兵達に向き合う。

カサカサと音を立てて土蜘蛛が、ドーマンの後ろに来た。


「これって? このままこの都市を制圧する流れですか?」

ドンギューはドーマンの顔色をうかがう。


「ん? 行き当たりばったりだよ」


「へ?」


「俺に抵抗すれば滅ぼすし、平伏せば助けてやらないでも無い」


ドーマンは顎髭を触っていた。


「俺が財布をすられたから、この都市が滅ぶという事?」

ドンギューは頭を抱える。

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