第12話『泣かれるのは対応に困るⅢ』

カフェに入り俺はキーラを座らせた。お冷を注文して彼女に飲ませると、やっとキーラは落ち着いたようである。


この世界では当然のように無料で水が出されるということは決してない。水はとても貴重な物であり、水魔法が使えるのならば水を簡単に生成出来るが、そうでなければ水道などは普及していないので、井戸から態々汲んでくる必要がある。


勿論井戸から汲んだ水は煮沸をした方が良いのだがなかには煮沸をしていない所もあり、俺はしっかりと解毒魔法を掛けておいた。


落ち着きを取り戻したキーラに俺は優しく話しかけた。


「一体どうしてあんなことを言ったんだい?」


「私たち獣人亜人は強い者を好み、強き者を己の伴侶とするのにゃ……それで私とアーラは強い者探しにイニーツィオまで出てきたのにゃ。にゃのに!思っていた仕事でもにゃいし、強い人には出会えにゃいので、里へ帰ろうかともアーラと話してたのにゃ。そんな時に貴方様に出会ったのにゃ!これは運命にゃ!もしもここまま里へ帰ったら家族にバカにされるにゃ!助けると思って伴侶じゃにゃくてもいいにゃ!旅に連れて行って欲しいのにゃ!」


「あぁ……」


急ぎ早に言葉を並びたてて懇願してくるキーラに圧倒されてしまった。


(……ん?あれ俺は今「あぁ……」と言わなかったか?もしも了承と捉えられては…)


勿論そんな危惧していた通りに、彼女はパァ〜ッと明るい笑顔になって「ありがとにゃ!嬉しいのにゃ!」と言っている。


「いや決して了承した訳ではなくてだな……あのな…その……」


俺がすぐさま訂正に回ると彼女は一転明るい笑顔から暗い表情へと変わり、目に水分を溜め始めた。


「どうしてもダメにゃのかにゃ?……悲しいのにゃ……アーラと共に連れて行ってはくれませんかにゃ?」


そんな顔のまま上目遣いをして懇願してくるものだからつい「分かった連れて行く」と返答してしまった。


くっ……上目遣いは強すぎやしないだろうか。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



なかなか長い文量を書けませんですが、また書けましたので短いながら更新しました。

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