第3話 レジ袋有料化でまた大変そうですね(1枚目2日目・6月6日)
洗濯をしたせいか、少しだけマスクが顔にフィットするようになったように感じる。
多少の解れはあるものの、気になるほどではない。
今日もまた、静かに深呼吸をしながら手のしなりを聞かせて押し洗いをしていく。
今晩は久方ぶりにコンビニにより、缶チューハイと第三のビールを求めた。
店の中には週末ということもあってか、男女五人ほどのグループが酒を求めていた。
それを横様に見ながら、経済を動かそうとする若者たちに祝福を、と祈ったものである。
ただ、その先のレジでの応対にやや思うところがあった。
袋に詰める際に台へと叩きつけているのではないかと疑うほどに缶が高鳴る。
終いには投げるように置かれたレシートには、流石に何か気に障ることでもしてしまったかと戦々恐々であった。
とはいえ、この応対をそのまま続けてはこの店の損失になる。
悪気がないのであれば伝えて今後の参考にしてもらえればよいのだが、言ったところでクレーム客と変わらないではないかと頭を抱えてしまう。
そもそも、客側が一生懸命に接客する店員に何かを指摘するのは烏滸がましい行いなのかもしれない。
夜通しで働いている人間に感謝こそあれ、非難する道理はない。
一方で、いい店は客が育て同時に客を育てるという格言を聞いたこともある。
その店に通い続けたいと思うのであれば、必要なことは伝えるべきではないか。
コンビニであればそこまで考える必要もないのかもしれないが、それこそが一つの現代病なのかもしれない。
コンビニであれば何を言っても許されるという恐ろしい考えと、コンビニであれば何を言っても無駄であるという穏当な考えとは、一見すれば正反対でもその内実は同じである。
商店における人付き合いを排除し、自動販売機で物を買い求めるだけとなってしまっている。
効率的といえば確かであるが、それを重ねれば相手を人として接することを忘れてしまう。
それでは、いつ無関心が相手への際限ない攻撃性に転じてしまうか分からない。
だからこそ、一定の人間性を持って接するべきなのであるが、その範囲がどこにあるのかが悩みなのである。
ひとまず商品を受け取ってありがとうと声をかけて退店したのであるが、結局はマスクを洗う合間に結論が出ることはなかった。
しっかりと水を絞ってから干場に掛ける。
なお、つっけんどんとした女性の応対にそそられるような部分があったわけではないので悪しからず。
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