クレスとの会話

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あらすじ:姫奈のヒステリックから逃れてクレスと宿屋へ



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 冒険者ギルドを後にし、宿に向かった。


 冒険者ギルドを出る時と今は隠密スキルを使っている。王国に居るときにも活躍したが、ここでも大いに活躍している。宿に着くも部屋はクレス達が既に手配済みで、すぐ入ることが出来た。


「この街について余り分かってない事が多いんだが、それについて説明してくれ」


「ええ、大丈夫です」


 クレスはそう言うと語り始める。


「この都市は、ダンジョンを中心に栄えてきました。廃坑もとい、廃ダンジョンを含めてかなりの数が存在しています。不帰かえらずのダンジョンもその一つでしょう」


 なるほど、その辺りがいきさつになる訳か。


「以前はノーザンテースト帝国、イーストウッド王国、グランドフォート王国の三国が独立を認め、独立都市として機能していました。ですが、イーストウッド王国が陥落すると、グランドフォート王国がノーザンテースト帝国を侵略する戦争を引き起こしている間に管理局を掌握。現在ではグランドフォート王国が占有している有様ですね」


 ――つまり、この都市を掌握するのは必然だったと言えるのか。


「たっだいま~!」

「今戻ったわ」


 そうこうしているうちにアリーシャとエリナが帰ってきた。

 ……一人足りんな。


「おかえり、アズラックはどうした?」

「アズラックは私が置いてきたわ。ハッキリ言って私は、あの話についてこれそうもないから」


 エリナさん、何で名言っぽく言ってるんですか。単にあの話にあなたがついて行きたくなかっただけでしょう。確かに俺でも姫奈ぴいな相手なら置いてくがな。


「それより、クウト」

「ん?」

「おそらく向こうはこちらとダンジョン攻略は共闘になると思うわ」

「ああ、神器アーティファクトを2つ収めないといけないんだっけ?」

「そう。流石に、こちらで全部出すのは共闘の意味が無いから、私たちも一つは出さないといけなくなるはずよ」


 だんだん読めてきたな。つまり俺の神器アーティファクトを提供するわけか。どっちにしても提供する予定だったし、構わんけどな。そう思って口に出そうとしたらとんでもない話になってきた。



「そこで、私の神器アーティファクトを提供するつもり」


 は?


「いや、エリナの神器アーティファクトはダメだろ。俺の神器アーティファクトを出せばいいじゃないか。そのために連れてきたんだろ」

「いいえ、クウトは今後もその力を使うべきよ」

「しかしだな、クレス、アリーシャ、アズラックは納得しないだろ?」


 そう言って俺はクレスとアリーシャに向き直る。


「いいえ、僕はどちらでも構いませんよ」

「………あたしは、何とも言えないけどぉ、アズラックはどちらでも納得するはずだよっ」


 エリナは何か考えがあるみたいだけど、流石にダメだろう。


 ――そう思っていたらアズラックが帰ってきた。

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