第二話・博多の街での騒ぎ

「と・・とにかく この辺りを捜すよ

ナジュナジュ」


「う・・うん」

その頃 妹のアシャは


御宮の中で開催されている

シルク・ド・ソレイユのサーカスに夢中に見ていた


何故かアシャ一人だけ 観客席にポトンと落ちたのでした


黒猫耳に尻尾 髪は黒で肩より少し上に切りそろえて

左の額の上に赤いリボンで髪を結んでいる

可愛いワンピを着た女の子である


面立ちは綺麗なナジュナジュに似ている


「ん?お嬢ちゃん ハローウインの扮装なのかい?

黒猫耳としっぽ可愛いね」


きょとんとして 尻尾や耳を揺らす


「おーその猫耳や尻尾は良く出来ている 

 お菓子を食べるかい?」


「あははっ ジュースはどう?」


周りの客から お菓子や飲み物などを差し出せれ

ご機嫌で お礼を言う


「ありがちょお うふ」


そして客もアシャも再びサーカスの舞台に夢中


「あしゃああ~」「アシャアシャああ」

二人が必死になって捜している


サーカスの途中で 席を立つアシャ


突然 首を左右に回して 誰かを捜している

リアやナジュナジュがいないので 少し不安になったらしい


観客席から立ち去るアシャアシャ



ハローウインのパレードの賑やかな声に振り返る



大きな鳥居に目をやるアシャ


「・・・風の聖霊しゃん アシャの身体浮かせちぇえ」


アシャの身体が魔法の言葉でふわりと浮かぶ



何故か ハローウインの行列の人々も・・

「なんだ!!」「うわああ」「きゃああ」


人々の悲鳴が上がる


傍にあった ハローウインの大きな飾り

巨大かぼちゃの複数も浮かぶ


「あ・・かぼちゃああ うふ」


鳥居の傍でふわふわと浮かびながら にこりと笑う


だが その笑みは

にいいいん 不気味な悪戯を思いついた笑みに変わる


兄?姉に似て可愛い綺麗な顔立ちの幼い少女だが

悪戯好きな一面もある


ブツブツを言葉足らずな魔法の呪文を唱えてる



道に置かれたハローウインの顔に彫られた巨大カボチャ達が

光り ぎゃははは!と笑い出す


かりそめの命を与えられて 悪戯を始める



人間に軽くかみついたり 追いまわしたり


ズドオオオンと人間を下敷きにしたりしている


あの大きく高い鳥居をまるでスポーツの競技のように

飛び越えるカボチャ達もいる



中には 大きな長い舌を出して べろりんと人間を舐める


「ぎゃあああ!」「うわああ」「ひあああっ」

 あちらこちらで悲鳴が上がる


アシャは宙に浮かんだ巨大カボチャの上に座り

お菓子を食べながら 観戦モードである もちろんご機嫌



「ちょっと なんだろう あの騒ぎ」リア


「ひ・・まさか またアシャなの」蒼白になるナジュナジュ



「あああああああ!巨大カボチャ達が暴れて回っている」

巨大かぼちゃ達は暴れまわり 人々は逃げ惑い パニック中


「ぎゃああ 噛まれたああ」「いやああスカートの中に入らないでええ」

「痛いいい ぶつかって来た まただああ」


「ああああ・・・こちらの世界の方々に

なんてご迷惑を・・・どうしたら」


「落ち着いてナジュナジュ とにかく

これ以上被害を出さないようにしないと」


二人は中心の鳥居に向かって駆けだすのでした



「あ!兄たん リアあ」嬉しそうに手を振るアシャ

もちろん まだ宙に浮かんだ巨大かぼちゃの上からである



「ダメでしょアシャああ~巨大かぼちゃに魔法をかけて

悪戯したでしょうう!!」半泣きでナジュナジュが泣き叫んでいる


「アシャあああ」こちらはリア



思わず 素知らぬ顔でそっぽを向くアシャアシャ



「怒らないから 巨大カボチャの悪戯を止めてええ」ナジュナジュ



「うん・・わきゃった(わかった)」にこりと笑うアシャアシャ


「かぼちゃちゃん 悪戯をやめちええ 

ナンジャモンジャアアナニヤンコナニヤンコ・・ブツブツ」


だが 巨大かぼちゃの悪戯は止まらず 更に激化する



「ありいえええ(あれえ)?」アシャ



「ちょっとアシャアシャ!止められないの?魔法の暴走なの!」


「・・・・うん えへっ」笑って誤魔化すアシャアシャ


あちらこちらの建物・・お店などを壊しだす

あるいは 建物をかじってる巨大かぼちゃ達


「ひいいいいいん」「アシャアあああ」二人の涙と悲鳴



そこに・・思わぬ救い主が登場


「止まれ 悪戯な巨大かぼちゃ 汝らに命を下した

アシャアシャの命に従え!」


黒いマントにオレンジのワンピースを着た

16,17歳前後の綺麗で愛らしい少女


髪型はアシャアシャとほぼ同じで 赤いリボン付き

更には黒猫耳と尻尾あり



ピタリと動きを止める 転がる巨大かぼちゃ達


「・・・・もう偶然 この時空の傍に通りかかったから

・・というか ここのサーカスをこっそり見学に来たのだけど


私 こんな悪戯を昔したのね すっかり忘れてたわ」


そう言って小さなアシャアシャの頭をナデナデする



「大丈夫? ナジュナジュ姉さん~ ついでにリアああ うふ」



「あ・・・成長した 未来のアシャ 前に会った」ナジュナジュ


「・・また僕 ついでなの」リア


ハッとするリア 未来のアシャは ナジュナジュの事を兄さんでなく

姉さんと呼んでいる 前回もだけど


・・・綺麗なナジュナジュは女の子になったのか

・・け・・結婚したのか・・相手は一体?リアの思考がグルグルと回る


その間にも大きいアシャは人々の記憶を消したり

被害にあった街の修復や怪我人を治癒して元通りにする



「うふ こんな異世界にいるなんて・・


また時空の亀裂に落ちたか 幼い時の私の魔法の暴走に

巻き込まれたのね 


じゃあ還りましょうね


あ、せっかくだから本場の博多ラーメン食べてから

還りましょうか?」


「ええ!僕らの国より東にあるという東洋の博多ラーメン?」


「・・ここが本当の発祥 前にこの世界の住人達が

異世界の私たちの世界に来て広めたの ぐふっ」


「た・・食べるうう」皆食べ盛り 美味しいものは大好き

「はいはいOKよおお」


四人は博多ラーメンとお菓子を沢山食べて 


お土産を持って無事に帰還


が・・しかし


真夜中 誰もいない中 巨大かぼちゃの瞳に光が灯る


巨大かぼちゃ達は寄り集まり 巨大化して・・

博多の街を踏み荒らして 世界制覇を企もうと・・・



そんなこんなな日本の博多の街でのハローウインな一夜でした



FIN

他サイトにも重複投稿です^^;

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