第15話体育祭の結果

日も暮れかけて体育祭も終盤になってきた。

最後を飾るのはもちろん選抜リレーだ。

俺は出場しないが、やはり一番盛り上がる競技だけあって、入場もまだなのに応援のボルテージもMaxだ。

応援団でない生徒たちも声を出して応援をしている。

その空気はだんだんと伝播していって後ろの生徒に繋がっていく。

やがて生徒全体を飲み込んで大きな声になって選手を鼓舞する声になる。

最後の競技の前にして得点板は隠されていて、点数が見れなくなっている。

そして選手が入場してきた。

生徒一人一人に向けた声援だったり、自分の色を応援する声だったり、様々な声が上がる。


そして第一走者がそれぞれのレーンに着くと息をのむような雰囲気で皆が見守り、静かな空気に一瞬でなる。

そしてピストルの音と共に四人が一斉に走り出した。

まずは女子が四人、赤、白、緑、青の順番で並んだ。

揺れる髪が疾走感を出していて、とても速く感じる。

そして半周でバトンが渡った。

バトンのタイミングで赤と白が並び、その後ろを緑と青が追いかける展開。

その状況が長く続き、第五走者目で緑が一気に前に出た。

それに引っ張られるように白が赤を抜く。

するとより一層声援と歓声が大きくなり、バトンがアンカーに渡される。

赤と白はまた横並びになり、緑を猛追する。

青はあまり差を縮められていないようだった。

そしてゴール前でついに赤、白、緑が横並びになった。

残りの直線は50mも残っていない。

ゴールテープの手前で白が一気に前に出た。

赤もついていこうとするがうまく足が回らないようで白がトップのままゴール―テープを切った。


観客席からは選手たちを称える拍手が沸き起こった。

そうして体育祭最後の種目は終わりを告げた。

長い体育祭を終え閉会式が始まる。

閉会式で一番気になるのは結果発表だ。

最初の挨拶を聞いてすぐに結果発表に移る。


「陽北祭体育部門第三位は……緑組です」


三位だったか……。

ちょっと悔しいが他のクラスが強かったという事にしよう。


「第二位は……赤組です!」


ぱちぱちと拍手が鳴る。


「そして栄えある第一位は…………白組です!!」


すると三年生と思しき生徒が立ちあがって叫ぶ。

皆その様子を見て苦笑いしつつも拍手をして検討を称えた。

そして体育祭が終わるとみんなアナウンスに従ってぞろぞろと教室へ戻っていく。

俺も椅子をもって暑さのこもる人ごみの中を歩いて戻っていく。

帰りのHRが終わってからも生徒会の集まりがあるようなので、その準備もしておく。

そして体育祭に関することを少し話されてHRは終わったのでバッグを持って教室を

出た。


「あっ!凪!」


俺は由都の声を聴いて振り返った。


「一緒に行く?」

「うん」


俺たちは並んで歩き始めた。


「あんまり結果は良くなかったね」

「そうだね。桜庭先輩の一人勝ちだよ」


でも一人だけ子の体育祭中見なかった気が……


「あれ、唯花先輩って何色?」

「立花先輩は青だよ」


唯花先輩も最下位だったのか……



そしてバッグを置いて校庭に出ると明らかに落ち込んでいる唯花先輩がいた。


「唯花先輩?どうかしたんですか?」


なんとなくわかっているが一応聞いておく。


「ああ、凪くんか……体育祭で最下位になったのが悔しくてね」

「大丈夫ですよ。来年もありますし」

「そうだね……私は来年かてるかな?」

「勝てます。その熱意があれば絶対大丈夫ですよ」


そんな適当な事を言っておく。


「そっかならいいや!今年は前哨戦ってことで!」


分かりやすく元気になったなぁ~。うん。ちょろい。


「それじゃあ、片付けしましょうか!」


そしてテントや得点板を片付ける

各部活の手伝いもあり想像よりも早く、終えることができた。

そして生徒会の皆で集まった。


「それじゃあ、ファミレスでいっか!」


唯花先輩がそう言うとみんな少し呆れたような表情をしながらうなずいた。


「よーしそれじゃあいこー!」

「「「「お~」」」」


道行く人の視線で気が付いた。

俺今すっごい肩身狭くね!?

それに気が付くとどうしても周りからの視線を意識してしまって、気が気じゃなかった。

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