第31話 うぉおお罪が雪だるま式に増えていくぅうう!



 オウカたちに案内された地下室には、カジュアルドレス姿の、金髪碧眼美少女が怒りの形相で椅子にふんぞり返っていた。


 日本じゃマイナー国だから知らなかったけど、桃髪金眼のナナミといい紅眼のオウカといい銀髪紫目のカナといい、パシク人てマジで2・5次元人だよなぁ。


 金髪碧眼の彼女も2・5次元的な顔立ちで、アニメフィギュアみたいなプロポーションだった。


 オウカが口を開いた。


「紹介しよう。彼女がミイネ、国王の一人娘でこの国の姫だ」


 ——姫? リアルプリンセス?


 の、わりには上品さに欠けていた。気が強そうな瞳で、わがままお嬢様然とした雰囲気だ。


 ——待てよ。なら、この子を連れて逃げて国王派と合流すれば日本に帰れるかも。


 淡い期待に、心が躍った直後、ミイネは毒づいた。


「よくも父様を! この人殺し!」

「安心しろ。貴君は殺さない。国王派への切り札だからな。丁重に扱ってやるさ」

「何が丁重よ。いつまでワタシをこんなところに閉じ込めておく気!?」

「ここはお気に召さないか?」

「当たり前でしょ。ワタシはこの国のお姫様なのよ! ティータイムは! マッサージは! アロマは! シャワーだって何日入っていないと思っているのよ!」


 ——本当にわがままだな。


 地下室、と言っても、宮廷なので、決して不潔ではないし、独房や地下牢のような雰囲気はない。


 むしろ、庶民よりもよっぽどいい部屋だと思う。


 けれど、彼女にとっては不服らしい。


「口を慎め! 大統領、オウカ様の御前だぞ」


 カナの言葉に、ミイネは目を丸くした。


「大統領、まさか、こいつが!」

「そうだ。こちらが我らがパシク国解放軍リーダーにして、現パシク国大統領、オウカ様であらせられる!」


 カナと一緒に、他の隊長たちやナナミも、誇らしげにオウカへ視線を送った。

それだけで、オウカのカリスマ性がよくわかる。


 続けてカナは、居並ぶ隊長たちを手で指しながら、紹介をしていった。


 隊長、と言っても、二十歳前後の少女たちが多いので、今でもピンと来ない。


 オウカのように大人びた女性がいたと思ったら、実は18、19歳です、なんてことも、珍しくはないのだ。


 紹介が終わるまで暇なので、俺はミイネに取り入る方法を考えた。


 ——ミイネに上手く取り入って、国王派と合流した後、日本に帰してもらいたいけど、この子ワガママそうだしなぁ、どうやって懐に潜り込むべきか……。


「そしてぇ!」


 ——え?


 カナの手が、俺に向けられた。


「彼こそが農林水産大臣にして環境大臣にして経済産業大臣! 我らがスーパーブレイン、大参謀タカハシショウタ殿だ!」


 ほへ?


「なんですって! じゃあ、今までの策謀はあんたの差し金だったのね!」


 いや、ちがっ。


 ミイネは、明らかにこれまでのテロ活動を指して言っている。

 だがカナは、政権を奪取してからの政策のことだと勘違いしているのだろう。


「そうだ! 我々の活動は全て、ショウタ殿の采配によるものなのだ! 今も昔もそしてこれからも、我らはショウタ殿と共にある!」

「貴方が真の黒幕! 悪の巨魁だったのね! よくも父様を!」


 ――なんかすげぇ勘違いされているぅ!


 俺の帰還計画は、早くも暗礁に乗り上げた。


「ちょっ、待ってくれミイネ! 俺はただの拉致被害者で日本人なんだ!」

「世界のどこに拉致された先で三大臣を兼任する人質がいるのよ!」

「ごもっともぉおおおお!」


 抜群の説得力に、俺は滂沱の涙を流した。


 その直後、俺はオウカに抱き寄せられ、豊乳に顔を挟み込まれた。


 ほぁあああああああきもちぃよぉおおおおおおお!


「ははは、ショウタがいる限り我らに敗北はない! 見ているがいい。我らはショウタの灰色の脳細胞を以って年内に国内を掌握し、パシクの民に真の平和と自由を取り戻すのだ!」


「くぅうう! この鬼、悪魔、鬼畜、地獄に落ちるがいいわ! ぺっ!」


 いやぁあああああああああああああああああ! 遠ざかる、日本が遠ざかるぅ!


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 ★100、♥400達成です。

 皆さん、応援ありがとうございます。

 

 本作に★をつけてくれた

yugo20さん matsu_18さん tsuruya21さん 利根は坂東一ノ川さん 

kanon01さん t_masaokiさん 

 エピソードに♥をつけてくれた

ESG000さん ryulion21さん Kumamonさん yuma02さん yo4akiさん

8289さん yanma0x0さん bystonwelさん kituenshaさん gyalleonさん

yohikorotaki10さん おうむさん kctonkiさん ajtpoajaさん rntoさん

gottu-deraumaさん 利根は坂東一ノ川さん jiro40さん farandollさん 

檜山太人さん taisuke441さん you_wwwさん kaminokehosiiさん 

コギタンスさん pp33さん AlAylowsさん asutoraruさん shinvsken555さん 

 私をフォローしてくれた

ESG000さん 上代さん naponapoさん アロンダイトさん takaguraさん 

kanma12さん ryulion21さん konbaintanakaさん

 本作をフォローしてくれた

maple1314さん yugureさん lootsさん tsuyakeshisamaさん tyasyuさん

awgtmさん koki0612さん 19950502さん 0303zma01さん 龍崎隼人さん

mgcさん lullaby_12さん iwaking_kazuさん pogemuさん tomokitakahashiさん

ryulion21さん clelouchcさん ariarichihiさん hamumiさん tadservantさん 

kouki04さん doshidak1さん 009Qさん KANAHA0211さん Yuika0523さん 

chaos33さん tsuchimaさん メテオライチョウ((不定期さん konbaintanakaさん

tajatatjaさん Kengo425さん ajtpoajaさん ponsuke527さん U24さん 

mmng97さん msk2002528aaiさん RIMURU19024さん 神田 双月さん 

seisuimenさん kanma12さん noritama00さん ayuayu1015さん cottoさん 

diegochaaanさん ネキさん Alicjaさん

 皆さん、本当にありがとうございました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る