第16話 もう一人の俺

三人の男が堂々と出てきてその一人が俺の男姿にそっくりだった

俺はビックリした顔で見るが相手はニヤリと笑う


「待ちなさい蓮君。作戦通りに動け」


「そーだぞーはっちゃん〜焦りは禁物だぜー?」


蓮と呼ばれた男は舌打ちをして俺から離れていく

するとデスマッチを提案した男が人差し指を立てる


「んでどーするー?やるかやらないか」


「受けて立ちましょう」


「ちょ、莇さんいいの?まともに取り合う必要ないよ」


「こうして持ちかけたということは北雪高校でもトップクラスの可能性があります。そして服には赤いペンキすらついてない。一直線にこちらにきたという事ですわ。それならば私達がここで倒した方が効率的に良いと思うのです」


「よっしゃ〜決まりだな〜♪俺は黒江紅覇(くろえこうは)。こっちの眼鏡は灰塵葵蓮(かいじんあれん)。さっき突っかかって来たのは蓮白碧(れんはくあ)だ。よろしくな」


「わざわざ自己紹介ありがとうございます。私は莇菫。銃を持ってるのが坂本百合さん。ナイフを持ってるのが六道椿さんですわ。以後お見知りおきを」


蓮・・・・白碧・・・・

俺は白碧をじっと見てると相手も気づいて目を見てくる

やはり、似ている。そして・・・・・俺の昔の名字も蓮なのだ

・・・・まさか・・・・な、と思ってると灰塵が一歩踏み出す


「では私から相手を選考しよう。私は司令官として動いていたのでそちらの莇菫との勝負。黒江君は狙撃兵として動いていたのでそちらの坂本百合との勝負。蓮君は突撃兵として動いていたので六道椿との勝負で構わないか?」


「構いませんわ。同じタイプの方がいいですもの」


「それではまずは六道椿、蓮白碧。前に出てきてほしい」


灰塵に流されるがままに俺は前に出る

すると後ろから二人がガッツポーズを見せる

頑張れという意味なのか最初じゃなくて良かったという意味なのか

・・・・前者の意味を取っておこう

突撃兵として流れを掴まないと!


「それでは始めて欲しい」


俺は開始の合図と共にバックステップを踏み

後ろにあった木を蹴り一気に加速する

この勝敗はおそらくペンキさえつけれれば問題ないはず

ナイフですぐに決着をつける!!

俺は自分的には早めの短剣技を使うが

全て避けられてしまい、最後には腕を掴まれてしまう


「まぁ待てよ。せっかくお前と戦えるんだ。少しは楽しもうぜ?」


俺の腕を思いっきり掴み、俺は痛みのせいでナイフを落としてしまう

白碧の方もナイフを落とし、これでチャラだ。と呟く

なるほど、これはダウンさせるしかなさそうだ

俺は拳を固め殴りかかると白碧のおでこに当たる

しかしそこからどんなに力を入れても白碧はビクともしない

なんだ・・・・なんなんだこいつは!?


「いい攻撃だ。だがそんな力じゃ俺には勝てねぇよ!」


一瞬、何が起きたのか分からなかった

俺の腹に思いっきり殴り、少し前かがみになってしまうと

白碧は俺の右腕を掴み背負い投げ

意外と飛距離は伸び、俺は木に背中をぶつけてしまった


「ゲホッゲホッ、くそ!」


「拍子抜けだな・・・・お前じゃ俺には勝てねぇよ」


白碧は一気に俺の体中を殴り、前かがみになってしまうと

とびひざげりを俺の顔面に当ててくる

白碧はポケットから何か出すと俺の腹の部分に付けだした

なんだこれは・・・・まさか・・・・爆弾!?

爆弾はすぐに爆発し、赤いペンキが服中についた

俺が・・・・完敗したというのか・・・・


「もう少しやるかと思ったのに・・・・残念だな」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る