ダークで重い雪熱もたまには……

同じプロットから小説を書くという企画参加作。雪景色と幼馴染という指定プロットにすなおに従うと、せつなくてしんみりした話か明るいポップな話が浮かびやすいところですが、そうは書かないところが作者であるふづき様の個性ですよね。

今回は思い切りダークでヘビーで少しオカルティックなホラー風味に仕上げられています。しかもその豊かな筆致は相変わらず健在、巧みな情景描写もしっかり盛り込まれています。

今作には少し謎解き要素があるので、冒頭からしっかり読み込んでみたくなる作品になっています。私は深読みしすぎましたが……。

逆方向で振り切れている「雪を溶く熱pp」もおすすめですが、今回の企画ではこちらのダークな作品にこそふづき様の持ち味がよく出ていると思います。