2人劇

〔1:1 / 3分〕愛してるって言ってよ(声劇版)

◆ あらすじ :

 今日も仕事ばかりの【ジロウ】に、【牡丹】は「愛してる」と言うよう求める。たとえ心からの言葉をもらえなくても、自分を見て、共に過ごしてくれればそれでよかった。


◇ キャスト :男性1人、女性1人

◇ 目安時間 :3分、約900字


【今作OK!】

・ 男女逆転の性別変更。それにともなう口調の変更。(役名はそのままで。逆転した旨を書き残してね)


◆ 使用条件は作品トップのとおり。



【作者から】

こちらは脚本形式で書いてあるので、3字下げで書いてある「ト書き」部分は基本的に読まないでください。今作一番最後では実際に鳴き声を。



◇ キャスト詳細

牡丹(ぼたん) ――猫、♀、15歳

  猫又と化して数ヶ月。

  飼い主大好き。メインクーン種。


ジロウ ――人間、♂、40歳~初老くらい

  牡丹の飼い主。在宅ワーク数週目。

  甘えてくる牡丹が嬉しいし可愛い。



===

【台本】

『愛してるって言ってよ(声劇版)』

作:あずま八重

https://kakuyomu.jp/works/1177354054897965180/episodes/1177354054913826001


【配役】

牡丹 :

ジロウ:

=========



『愛してるって言ってよ(声劇版)』

作:あずま八重やえ



●自宅・リビング

   ジロウ、パソコンで仕事をしている。

   部屋にタイピング等の音だけが響く。

   牡丹、窓辺でひなたぼっこしている。

   シッポで床を打ち、ジロウを見る。


 牡丹 「ねぇ」

 ジロウ「(仕事しつつ)んー。どうした?」

 牡丹 「愛してるって言いなさいよ」

 ジロウ「また何を突然――」

 牡丹 「い、い、か、ら」

 ジロウ「……好き、じゃダメかな?」

 牡丹 「ダーメ」

 ジロウ「そーかい。はいはい、愛してるよ」

 牡丹 「そんなんじゃなくて……もっと、ちゃんと言って」

 ジロウ「えー、昼メロの見過ぎじゃない? 最近かぶれてきてるよね」

 牡丹 「いいえ、健康そのものよ? ジロウのゴハンが美味しくなって、最近ちょっと体が重いくらい」


   ジロウ、仕事の手を止めて考える。

   ここでやっと牡丹に顔を向ける。


 ジロウ「違う違う。この〝かぶれる〟は……(思案)異文化や新習慣に染まるって意味だよ。赤く腫れたり、かゆいものじゃない」

 牡丹 「そうなの?」

 ジロウ「そうだよ」

 牡丹 「やあね、ヒトの言葉は難しくて。生きてるだけでも疲れそうよ」

 ジロウ「言葉の使い方そのものより、人付き合いに疲れることが多いかなぁ」

 牡丹 「あら。じゃあ私とは?」

 ジロウ「疲れるどころか癒やされてるよ」

 牡丹 「そう。なら言ってもいいじゃない。日夜癒やしてあげてるご褒美に」


   ジロウ、うなった末に軽い溜め息。

   椅子から立ち上がり、牡丹のもとへ。

   ひざまづき、牡丹の片前足を手に取る。


 ジロウ「愛してますよ。だから長生きしてください、牡丹」

 牡丹 「そうね。そうできるよう、これからもしっかりお世話なさい」

 ジロウ「了解。じゃあさっそく――念入りな肉球マッサージのあとで爪のお手入れをしてもよろしいですか? 終わりましたらブラッシングもぜひ」

 牡丹 「あら、気が利くのね。どうぞお好きに」

 ジロウ「(軽い調子になって)え、いいの? なら、そろそろシャンプーしたいなぁ」

 牡丹 「そちらは別料金、かつ予約制となっております。一昨日きやがりなさい」

 ジロウ「ちぇッ、残念」


   笑い合う。


 牡丹 「ねぇ」

 ジロウ「今度はなんだい?」

 牡丹 「ずっと、一緒にいてね」

 ジロウ「……もちろんさ」


   ジロウ、牡丹の頭を撫でる。

   牡丹、嬉しそうにニャアと鳴く。



〔愛してるって言ってよ(声劇版)/了〕

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る