第7話

タヌ子は、昔は占い館みたいな場所で占い師として仕事をしていたらしいが、数年前からネットでの相談や電話相談に切り替えて、今は主に自宅で仕事をしているらしい。


ウェブ雑誌に占いコラムみたいな物も書いていると言っていた。


「だから時間と仕事する場所は、けっこう融通きくんだ。」


タヌ子はもぐもぐ食べながら言った。


「占い師って、タヌ子…霊感みたいなものとかあるの?」


「霊感ってほどじゃないんだけど…野生の感、というか、昔からけっこう感がするどいとこはあったかも。そういう第六感的なものもあるんだけど、計算して出す物もあるし、お客さんの話聞いてアドバイスしたりするカウンセラー的な役割でもあるんだよね。」



「占い師やってる人、初めて会ったよ。」


正確に言うと、占い師をやっているタヌキに初めて会ったよ…だけど。


「ほんとはね、占い師になるなんて思ってもみなかったんだけど、よく友達から相談されること多くて、相談してきた友達からね、私のアドバイスは的確だし、占い師さんに占ってもらったみたいに当たってるって言われること多くて。それからね、私に相談すると、元気になってパワーもらえるって言ってもらえること多いの。それがすごく嬉しくて、たくさんの人に元気になってもらいたくて。それでね、占い師になろうって、思ったんだよ。」


「そうなんだー。すごいな、タヌ子。」


「そんなことないー。」


誉められた嬉しさと料理の旨さでタヌキ顔がデレデレダルダルになっている。


「私、暇なときヒロキのお手伝いするよ!」


ヤル気に満ちたタヌキ顔の目の奥に炎が見えた。



こうして、タヌキの飼育生活は始まった。


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