理不尽な世界の共感は得られずとも

玲@難読

0. プロローグ

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「ごめ……ごめんなさい……」


蹲った彼女が啜り哭く声は力なく、今にも死んでしまいそうだった。


顔をくしゃくしゃに濡らして、ただひたすらか細い声で謝り続ける。


俺はそれをただ残酷に、無力なまま見守っているしかなかった。


——


陶磁 文也は平凡な学生だった。それは自己採点での平凡であり、真意は違った。

平凡といっても平均ではなく、むしろ周りの人間からは劣っているとばかり考えていた。


けれど最下層かと言えばそうではない。中の下、それくらいが自分の立ち位置だと譲歩しながらも、劣等感に苛まれる日々だった。


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