第3話

次の日の朝、担任から部活を1週間以内に決めるように言われた。だが、俺らスポーツ科は、殆どの人が予め入る部活は決まっているだろう。気になるとすれば、ちひろちゃんがどこの部活に入るかだが、お昼ご飯を食べる時にでも聞こう。

何やかんや時間が経ちお昼になった。

ちひろちゃんは恥ずかしがり屋だから、お昼の待ち合わせは、食堂となっている。先に席を取って座って数分待っていると、ちひろちゃんが来た。隣にもう一人の女子生徒と話している。

「ちひろちゃん。」俺が呼びかけると2人はこちらにやってきた。

「遅れてごめんね。はい、これお弁当。」

「ありがとう。ところで隣の子は友達?」

「あ、そうそう。この前話した入学初日にできた友達で九条琴音さん。」

「九条琴音です。よろしくお願いします。」

俺は内心、ちひろちゃんと似て穏やかそうな子だと思いながら

「よろしく。神谷隆です。」と挨拶した。

「ところで、2人は付き合ってるの?」

「う、うんそうだよ。」

「神谷さんて、もしかしてあの中学生の時点でプロ顔負けと言われた神谷さん?」

「まあ、そんなこともいわれたかな」

「ちひろちゃん凄い人と付き合ってるんだね!いつから付き合ってるの?」

「しょ、小学校3年生の時、隆君から告白してくれてだよ」

「え、そんな前から!?凄いね。」

あまり昔のことは、詮索されたくないから、

「まあまあ、とりあえずお昼食べよ。ちひろちゃんに聞きたいこともあったし。」

お弁当を食べ終わると

「隆くん聞きたかったことって何?」

「ちひろちゃんどこの部活に入るか決めた?」

「隆くんがマネージャーは駄目って言うから、琴音ちゃんと一緒に文芸部に入ろうかなって。そしたらこれから部活始まっても、一緒に帰れるし。」

「そっかー。嬉しいよ」

「あのー神谷さん。何でちひろちゃんがマネージャーダメなんですか?」

「マネージャーになると、他の男の世話をする羽目になるじゃん。ちひろちゃんには、俺だけを支えてほしいからさ。俺のわがままなんだけどね。あと、タメ口でいいよ。」

「そ、そうなんだ。ちひろちゃんの事大好きなんだね。」

「うん、もちろん。世界で一番大切な人。」

ちひろちゃんは、顔を赤くしながら俯いていた。

それぞれが教室に戻ったあと、

「神谷さんてけ、結構大胆なんだね。」

「うん。でもそれくらい私のこと大切にしてくれてるってことだから嬉しいよ」

恥ずかしがり屋二人は隆の発言に照れていたのであった。

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