俺の中の聖騎士の亡霊が眼帯美少女とのラブコメを導きやがったが、俺はそいつにセクハラしすぎて変態と罵倒される日々

真木ハヌイ

プロローグ

 昔々の、西洋のとある国でのことです。一人の美しい女悪魔がいました。そして、それを倒さんとする美しい青年の聖騎士がいました。


 聖騎士は長いこと時間をかけてついに因縁の相手、女悪魔を追い詰めました。


「ここで会ったが百年目! ついにお前も年貢の納め時でござる!」


 とかなんとか言ったそうです。


「ああ、あなたとわたくし、どうしても戦わなければならないのですね……」


 女悪魔はそんな聖騎士を見て、悲しそうにつぶやきました。


「問答無用、覚悟しろ!」


 聖騎士は聖なる剣を携え、女悪魔に斬りかかりました。


 ですが、その瞬間、聖騎士は脚をつまずかせて思いっきり前に転んでしまいました。


「ぐわぁ!」


 運の悪いことに、ちょうどすぐ前には岩がありました。聖騎士はそこに頭を強く打ちつけてしまいました。クリティカルヒット。聖騎士はそのまま死んでしまいました。


 そして、転んだ瞬間に聖なる剣は聖騎士の手からすっぽ抜け、女悪魔の胸に刺さってしまいました。


「ああ……」


 女悪魔は聖騎士の間抜けな最期を実に残念そうな面持ちで見つめながら、死んで行きました。


 こうして二人は因縁の対決ののち、相討ちという形で果てたそうです。しかし、こんなしょーもない結末に両者が納得するはずもなく、彼らの魂は未練たっぷりの亡霊となってさまようことになったそうです。めでたし……めでたし?

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