第二話 ステータス?なにそれ?

さらにゼファーさんの説明は続く。


「戦いに関しても心配ご無用でございます。転移時の副作用により、勇者様方には特殊な能力が付与されているはずでございます。」

「……勇者様方。利き手を前に【ステータス】と唱えてください。」


なにそれ?さらに胡散臭くなってきた。

でもみんなはこの荒唐無稽な展開を、ラノベみたいだ!ゲームみたいだ!とはしゃいでいる。みんなは何の疑いもなく従っていくので、仕方なく私もみんなに倣って唱えてみる。


「【ステ……タス】」


手の上に透明の表示盤が表れ文字が書かれている。

なになに……?


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名前 : 花咲 藻子

レベル : 1

クラス : 人間

年齢 : 13

性別 : 女

状態 : 【呪い】【毒】【発育障害】【栄養失調】【隻眼】【飢餓】【打撲】

職業 : 無し

称号 : 無し

HP : 3 / 10

SP : 3 / 3

力 : 1

体力 : 1

器用 : 1

速さ : 1

知性 : 1

運 : -65535

スキル : 【鑑定】(【呪】【禁忌】)hidden

===========


……なにこれ呪われてる?

そして初めから瀕死じゃない?そもそも勇者でもない。

うん、何となく予想してたけど、元の世界の状態が反映されてるんだろうね。

前の世界でダメなのに突然強くなるなんて、物語の中だけだよね?

はぁ……眉を八の字にしてため息をついてると、三菱 麗奈(みつびしれな)さんに声をかけられた。


「ふふふ……みなさんたのしそうね。ねぇ花咲さん?私のステータスって見えていますか?」


彼女は特に学校中で注目超お嬢様だ。なんでも三菱グループ代表のお嬢様で学校にボディーガードもついてくるような人だ。才色兼備を地でいくすごい人で、男女ともに人気があって、私は話しかけられただけで、妬まれてしまう。




「なんで陰キャのくせにっ!」

「あいつ、調子に乗ってるよなぁ!!!」

「いかにも無能そうな娘が!無礼であるぞ!」


クラスメイトと貴族の人が並んで文句言ってる。

今会ったばかりなのに、仲がいいなこの人たち。私も仲間に入れてほしい。


「……、ふひ、み、みえ……ない……です」

「そう、ありがとうね」


顔が近くて緊張したけれど、私はよく頑張った!

三菱さんは興味を無くしたようで、離れていった。

他人からステータスは見られないんだね。


「さぁ勇者様方!順番にこちら水晶に触れてくださいませ」

「水晶に表示された内容がステータスカードと、王国に登録されるのでございます」

「これによりカードをご提示いただけたら、勇者様方は先々で多くのサポートが得られるでしょう」


順番にステータスが公表されていくようだ。

大丈夫かな?


「じゃあ、僕からいくよ!」


飛鳥井くんがいつものように率先してやり始める。

まさにリーダーだね。


===========

名前 : 飛鳥井 連

レベル : 1

クラス : 人間

年齢 : 14

性別 : 男

状態 : 【良好】

職業 : 勇者

称号:英雄

HP : 500 / 500

SP : 500 / 500

力 : 80

体力 : 73

器用 : 66

速さ : 90

知性 : 50

運 : 99

スキル :

【バスタースラッシュ】【ダブルスラッシュ】

【イージスの盾】【勇者の礎】

【奥義:ファイナルアタック】

===========


「おおーっ!英雄様だ!」

「さっすが飛鳥井くん。勇者で英雄は納得!」

「さすアス!」


なにあれー?、もしかして私のステータス低すぎ……!?

そして次々とクラスメイトのステータスが水晶から発せられる。


===========

名前 : 城島 麗華

レベル : 1

クラス : 人間

年齢 : 14

性別 : 女

状態 : 【良好】

職業 : 勇者

称号:剣聖

HP : 480 / 480

SP : 520 / 520

力 : 99

体力 : 40

器用 : 80

速さ : 99

知性 : 40

運 : 50

スキル :

【一閃】【薙払】

【一騎当千】【剣聖の極み】

【奥義:天剣必罰】

===========


「おおおおおーっ剣聖様までいらっしゃるとはっ!」

「委員長すっげーかっけー!」

「こ、これはすごい!剣聖様じゃぁぁ!」


 やっぱり元の世界で発言力あって能力高い人はそのままトップクラスになるのね。……んむぅ。そう思うと興味が薄れてきた。


===========

名前 : 鈴沢 雲母

レベル : 1

クラス : 人間

年齢 : 14

性別 : 女

状態 : 【良好】

職業 : 勇者

称号:上級魔導師

HP :300 / 300

SP : 700 / 700

力 : 20

体力 : 10

器用 : 88

速さ : 10

知性 : 99

運 : 80

スキル :

【ファイアボール】【メテオ】

【ウィンドカット】【テンペスト】

【奥義:フェニックス】

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「雲母まですごそうっ!」

「数字も勇者に引けを取らないぐらいすごい!」

「あーしなら当然でしょ!?もっと言って!」

「おおぉ……ぜひ宮廷魔導師に……!」


ギャルなのに魔導師なんて頭よさそう。鈴沢さんも人気者だもん。お金持ちだし良い教育を受けていたのかも?人を見為で判断しちゃだめな例だね。



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名前 : 二見 昴

レベル : 1

クラス : 人間

年齢 : 14

性別 : 男

状態 : 【良好】

職業 : 勇者

称号:狂戦士

HP :1000 / 1000

SP : 0 / 0

力 : 99

体力 : 99

器用 : 90

速さ : 60

知性 : 5

運 : 10

スキル :

【バーサーカー】【必中】

【アックスバレット】【憤怒】

【奥義:アースクエイク】

===========


「……くそっ!」


彼は|二見 昴(ふたみすばる)くん。乱暴者の不良。喧嘩ばかりしていてちょっと怖い。できればあんまり関わり合いたくはない。

トップクラスの数字なのに、あんまりうれしくなさそう?八つ当たりで床をけってるけど、私は掠ったら死ぬかもしれないからやめてほしい。










……そしてほとんどの人が終わって、私と三菱さんだけになった。

王国側の人間がざわつく。期待のまなざしを彼女に向けているようだ。


「いよいよあの方ですな。これは期待でそうですぞ」

「あの見目麗しい方は、きっと聖女に他ならないっ!」

「それですぞっ!」


===========

名前 : 三菱 麗奈

レベル : 1

クラス : 人間

年齢 : 14

性別 : 女

状態 : 【良好】

職業 : 勇者

称号:聖女

HP :200 / 200

SP : 800 / 800

力 : 5

体力 : 20

器用 : 99

速さ : 10

知性 : 99

運 : 99

スキル :

【ヒール】【エリアヒール】

【ブレス】【キュア】

【奥義:リザレクション】

===========


「おおーーーーっ!やはり聖女様でした!」

「これは一大事だっ!勇者召喚でこれほどの人材がそろうなど歴史上めったにございません!」

「なんとっ!リザレクションが使えるとは!!!!」

「聖女様にはすぐに護衛をつけろっ!」

「さぁさぁ聖女様こちらへーっ!」

「さすが学園の聖女!!!!」

「こっちの世界でもすごい人気だね!!」

「ふん、あーしのほうが美人だし!」

「お前も美人だよっ!」

「それなーっ」



なんてカードを登録する場所にいる三菱さんのところに人だかりができている。水晶のところには人が閑散としているし今がチャンスだっ!

今のうちに私もやって、空気になるのがいいね!


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名前 : 花咲 藻子

レベル : 1

クラス : 人間

年齢 : 13

性別 : 女

状態 : 【呪い】【毒】【発育障害】【栄養失調】【隻眼】【飢餓】【打撲】

職業 : 無し

称号:無し

HP : 3 / 10

SP : 1 / 3

力 : 1

体力 : 1

器用 : 1

速さ : 1

知性 : 1

運 : -65535

スキル : 【鑑定】

===========



「なんだあのステータス!」


一人の男子が私のステータスを指差して笑う。

『あーははははっ!!!』

『くすくすくす……』


釣られたようにみんなが私のステータスを見て笑い声の大合唱。

しっかりクラスメイトには見られていたようだ。……んむぅ。


周囲を見渡すと、王族や測定係の神官も噴き出して笑ってる。

こちらに気づいた三菱さんまでも、上品にだけれどくすくすと笑っている。


「うわっ!ひっく!さすがは陰キャ!」

「それにこいつ呪われてるぞっ!道理で不幸オーラが出てるはずだ!」

「あーーーはははっ!クズ子は異世界でもクズ子でしたーーーー!」

「クソださ貞子の陰キャちゃん何だから、王族の方々の時間をとらせんなよっ!」

「早くテンプレ通りに捨てられちゃえよっ!だよなぁ王女様!」


笑ってないのはそっぽを向いてる不良の二見くんくらいなものだ。

あれ?なぜか毎日私をイジメる鈴沢さんが、爪を噛んで王族を睨んでる?

なんだろね?


「は、花咲さん?がっかりしないでね。……ップ!……こんなのただの数字じゃない?人生もっと大事なことがあるよっ!」


大黒先生が何か言ってるけど、目が笑いを堪えてる。

でももう噴き出しちゃってる。



「ふむ、これは困りましたね。」

「こ、これは私のほうで対処いたしますので、他の方はゼファーに任せますわ。ハナサキ・モコ様はわたくしについていらして?」

「は、しかし登録がまだですが?」

「こちらで対処します」

「かしこまりました」

「いきますよ。ハナサキ様?」


「ひぅ……は、……ふひ……はぃぃ」


べちゃっ!


「ぁ……っうぅ!」


『わーっはっははははは』


私は、慌てて女王様と護衛の後ろについて行こうとした。

でもどんくさくて慌てていた私は、何もないところで足が絡んでしまった。そういえば昨日は食べてないから、そろそろ限界だったかも。


王女様は私を哀れみの目で一瞥するとー


パンパンッ!


手を叩くと神官が数名呼ばれ、かなり雑に抱えられた。

それに知らない人に近づかれると……こ、怖い怖い。


コツ、コツ、コツ……


コツ、コツ、コツ……


コツ、コツ、コツ……


おっ……おっ……おっ……でるでる。


オロロロロロロr…………べちゃっべちゃっべちゃっ


……あぁ……やっちゃった。だって揺れるし怖いんだもん。ちなみに胃に何も入って無いから、吐いたのは胃液と唾液だけだ。


「うわーーー!こいつ吐きやがった!!」


私は運ばれてる最中に気持ち悪くなって嘔吐して、そのまま完全に意識を手放した。がくり。





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