第84話交渉

ローズがは怒るバルトを優しく抱き上げると


「それ、どういう事だ…」


声を低くして男に話しかける…


ローズが答えた事でハンターの男はしめたと口角をあげる!


「そいつは金になる獣なんだ!手伝ってくれれば金を渡すから!」


「その前に…最後の一匹って…」


「ああ、そいつは群れで行動しててなそいつの仲間達はみんな捕まえたんだ!残りはそいつだけ!一際綺麗な毛皮のそいつは倍の高値がつく!」


「はぁ?仲間?最後…毛皮…」


ローズの声が険しくなる…


「ああ!ちょっと想定外の事があってな…だが丁度取り分が増えた所だ!どうだ?いい話だと思うんだが?」


男がニヤッと笑う…


「こいつ!殺してやる!」


バルトが怒りのあまりローズの腕に爪を立てる!


「バルト…落ち着いて…こんな人の為にバルトが傷ついて欲しくない」


ローズはそっとバルトに語りかける。


「だが!あいつは仲間を!あいつらは生きたまま熱湯に入れられて皮を剥がれたんだ!」


「酷い…なんでそんなことが出来るの…」


ローズが悲しそうにバルトを撫でる…


「でもここでバルトがこの人を傷つけちゃったら…きっと良くないと思う…お願いバルト人の裁きは人に任せてくれないかな?」


ローズがお願いする


「ふざけんな!こいつを殺さなきゃ仲間達が報われない!」


バルトはローズの腕から逃れようと暴れ出す!


「お願い…バルト…」


ローズはバルトの爪で腕が傷ついてもバルトを離そうとしない…


「な、何を話している!他にも誰かいるのか?」


男はよく見えない目を凝らしてローズの方を見るがぼんやりと男の影が見える程度だった…


「今なら!今ならあいつを殺せる!ローズ離せ!」


「嫌…今離したらもうバルトに会えない気がする!絶対に離さない!」


ローズは更にバルトを強く抱きしめた!


「クソ!もういい!」


ハンターは行動を起こさない男に痺れを切らし反対方向へと逃げようとする!


「あっ!ローズ!あいつが逃げる!」


「大丈夫…絶対逃がさない!バルト私はあの人を許す気なんてないよ…ちゃんと罪は償ってもらう!」


「えっ…」


ローズの言葉にバルトの力が抜ける…


「だからここで見てて…」


ローズはバルトをそっと地面に降ろすと、剣を抜きハンターに向かって走り出した!


「ロ、ローズ?」


バルトはローズの豹変ぶりに怒りで高まっていた感情が落ち着く…


ローズはあっという間に男を追い詰めると走りながら枝を拾って男の足に投げつけた!


「うわっ!」


男は足を取られて地面に転がる、その隙に回り込んでローズは男の前に立った…

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