第19話 モデルケースを広げる事も目標の一つですわ!
「モデルケースの話はまだしてませんでしたわね。今から説明いたしますわ」
怪訝な表情をしたベアルさんに、リコネルは今から領で広めようとしている働き方改革の話を掻い摘んでする事にしたようです。
一つ、従業員の数を増やし、日数や時間で人を回し、働き手不足の解消を促すこと。
その為には、女性の雇用も含め増やしていかねばならないこと。
そして、その為には園の活用が必要不可欠になってくるというもの。
「女性の働き手が増え、時間や日数で管理できれば、働き口が無い女性が減ると思いますの。更に言えば花屋のような繊細な仕事には女性は向いていますわ。無論男性も雇用する予定ですので安心なさって。手先が器用な方は大歓迎ですもの!」
「確かに、うちの園芸店でも女性の働き手は多いですが、何かと子供が熱を出しただのあると手が回らなくなるのは事実です。そのあたり雇用を増やすこと、そして時間や日数で管理すると言う事ですか?」
「ええ! 雇用形態は両者が納得した形でなければ。雇っている側が強いだけでは人材は育ちませんもの」
「なるほど……」
「それに、給料に関しても梃入れしますわ。今まで通りの給料管理でも宜しいですけど、年2回、大きな休みがあるでしょう?」
「ええ」
「そこで、ボーナスと言う形で、年2回給料を増やしてお支払いする。そうすれば働いている方々のやる気、モチベーションは保たれますわ」
年2回の給料を増やすという言葉に、ベアルさんは目を見開きました。
確かにそれならば働き手は「この職場から去りたくない」「この職場で働きたい」と言う気持ちが強くなるのは事実でしょう。
「実際、王都にいる際にその給料制及び働き手を増やして回す方法で商売してましたの。結果は上々ですわ」
「なるほど、既にそちらはモデルケースがあると言う訳ですね」
「ええ、中々王都では広まりませんでしたけれど。この領で広がるかどうかはまだ未確定ですわ」
「だが、そのモデルケースに私も入ることが出来ると」
「そう言う事ですわ」
そうなれば、この辺境領での給料形態を考えると、年2回のボーナスは大きいのです。
そこを上手く利用し、リコネルはベアルさんの心を掴んでいきます。
人を掴むなら、人を動かすなら金も大事……リコネルはやはり商売人ですねと、多少苦笑いが出てしまいました。
「また、園芸店でのノウハウはベアルさんの方がお詳しいのは存じております。故に、ベアルさんには管理職として今後給料の上乗せ、及び、従業員の管理を任せたいのですわ。無論今まで通り破棄する花は、今進んでいる園に届ける作業も追加でお願いすることにもなりますけれど」
「それくらいは軽いものです」
「では、これらを纏めた書類がありますの。サインをしてくださればリコネル商会がベアルさんの園芸店を購入いたしますわ。金額はこの程度で如何?」
そう言って出された書類を見たベアルさんは強く何度も頷き「ありがとうございます!」と深々と頭を下げました。
その理由は、破格の値段でのベアルさんの園芸店の購入であったことでしょう。
最初、その値段を聞いて驚いたものの、リコネルは気にもせず「未来の子供達への投資ですわ」と笑って答えていました。
こうして、ベアルさんが帰った後、契約書は大事に保管され、リコネルもホッと息を吐けたようでした。
疲れを労う為に紅茶を入れてもらいましたが、リコネルは「そんなに疲れた顔をしてまして?」と苦笑いをしていました。
「此処までの契約までの流れで小説を3本も書き、ベアルさんの園芸店を手に入れる為に奔走し、そして無事に契約が出来た上に花屋へを開けるようになったのですから、疲れくらいはあるでしょう?」
「王妃になる為の修行の間のほうがきつかったですわ」
「ですが、もう余り無理は為さらないで下さいね? 何時一人の体でなくなるか解らないのですから」
「ええ、余り無理をしないように頑張りますわ」
「本当に無理をしないように心がけてくださいね?」
「フフッ 解りましたわ」
そう言うとやっとリコネルは疲れた表情を見せてくださいました。
今までの疲れが出たのでしょう、少しだけ遠い目をしているのは疲れからかと思われます。
「リコネル?」
「少々疲れただけですわ、ご心配なさらないで?」
「心配はします、あなたの夫なのですから」
「では、このまま眠ってしまいたいんですの。ベッドまで運んで下さる?」
「喜んで」
そう言うとソファーに座るリコネルを抱き上げ、そのまま寝室のベッドまで連れて行き、布団をかけて差し上げると「わたくしは幸せ者ですわね」と呟いて嬉しそうに微笑むと、そのまま寝息を立て始めました。
本当に疲れきっていたのでしょう……余り無理をして欲しくないものですが、リコネルは一度やると決めたら突き進むタイプのようですので、中々匙加減が難しいようです。
せめて、リコネルの明日の仕事が楽になるようにと部屋を出て執務室に向かうと、丁度、執事のサリラーと騎士のエリオが待って居てくれたようですね。
「お待たせしました。避難民のほうからの報告は?」
「此方に御座います。内容はチェックしましたが、一応彼らは形だけでも王都に向かい、王に対して嘆願書及び懇願書を出すとの事です」
「形だけですか、相変わらず困った避難民ですね」
「とは言え、懇願書や嘆願書が王に届くまでは一応こちらの領に帰ってくる事は
「上々です」
これ以上リコネルの疲労が溜まるようなことが無いように心がけたいものですね。
この一週間の間に本当に無茶を為さいましたから、本来なら数日はゆっくりと過ごして頂きたい程です。
そしてエリオからの報告では、国王の噂雀は今は麻痺して機能していないとの事でした。
王都で王の素晴らしい一面を伝えようにも、全て国民に論破され、雀が囀れないようになっているのだとか。
まぁ、なんともお粗末な囀りしかさせないものですね……もっと別の囀らせ方があるでしょうに。
「それともう他の調査をお願いしていた事は?」
「そちらの報告書は此方になります」
そう言ってエリオが調べてきた書類に目を通すと、私はニッコリと微笑みました。
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此処まで読んで頂きありがとうございます!!
リコネルもずっと仕事をし続けていれば疲れますよね(;・∀・)
コレだけの内容を一週間で纏めつつ小説執筆販売……怒涛の一週間だったことでしょう。
彼女のエネルギー量凄まじい……。
続きが気になる感じで終わってますが、そこは明日お楽しみに!
日曜も子供が寝ている隙に更新できそうなので。
また、何時も応援ありがとうございます!
★やレビュー、ハートにブックマーク等、本当に何時もありがたいです。
コメントやコメントレビューまで頂いて、嬉しくて雄たけびを上げそうでした(笑)
本当にありがとうございます!
今後も、リコネルとジュリアス様を見守って頂きたいと同時に
少しでも作者への応援も宜しくお願いします/)`;ω;´)
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