温泉6
「はああ、気持ちよくて昇天しそぉ……」
「何を言っているの。気持ちよくなるにはここからだよ」
荒川に言われるようにお湯につかると本当に気分がよくなる。荒川は温泉マイスターなの
だろうか。まあ気持ちが良ければすべてよしというところで気にしないでおこう。
「しかしこうして一緒に温泉に入るなんてちょっと前までは思いもしなかったよ。本当に、
人生って何が起こるかわからないものなんだな」
「そうだよね。私も花崎君に温泉の入り方をあれこれと指南するとは思わなかった。よく考えると不思議なだね」
「確かになあ。あたしも花崎と裸を見合うなんて思いもしなかったし。というか、遊びに行くほどの交流を持つなんて思ってもいなかったからな。その意味で一番関係性が変化したの美海かもしれないな。な、美海」
「いや、私はそこまで変わっていないと思うけれど……」
「いやいや、花崎がこんな感じになる前はまさしく恋する乙女といった感じだったじゃないか」
「ちょ、それはいわないでよ!!!」
顔を真っ赤にしている美海は一体何を考えているのだろう、なんて無粋なことは言わない。当事者でなくてもあれは分かるだろう。だけど今、この場で敢えて口に出すことでもないだろう。
「その初心な反応見ていて飽きないねえ」
「ちょっと性格歪んでいるんじゃない?」
「そこに関しては歪んでいても万歳だ。お前もそう思うだろう」
「俺に言われてもな…… 荒川はどうなんだよ」
「グッド」
なんだその短い返答は。つまりそれはあれか、この会話を楽しいとでも思っているということなのか。いやそうだよえ。多分。これは美海、怒ってるだろうな。ということで恐る恐る見てみると怒っているのではなく、恥ずかしがっていた。こんな表情もするのかというのが、今日は何回もあるな。こんな日があっていいのだろうか。
「解せない日だな」
「そんなの私のほうが解せないよ!」
俺の言葉に重ねるように強調した。魂の叫びがそこには聞こえたし、見えた。これは風呂上り後に美海に聞くことを聞けなくなるかもしれない。あの恐怖の原因を一応は知っておきたいんだけど困ったな。
少し話を変えてみるかな。
「美海は恥ずかしがり屋。その辺にしておいた方がいい」
と、思っていたら荒川が美海に助け舟を出した。
「ひーちゃん、あそこのヒドイ奴が私をいじめてくる」
「よしよし、あんな悪い奴からは私が守ってあげるからあんしんして」
荒川は確かにある胸の膨らをこれでもかと活用するためなのか、一の問題なのか、いずれにせよ、美海の顔を胸に渦ませている。一応言っておこう。ここは温泉であり、当然裸である。つまり生のおっぱいがここにあるのである。と言ってもそれは俺にもきっちりとあるわけで、今となっては特段珍しいものでもないが、特に中高生が見たら発狂物の光景のような気がしないでもない。あの辺の年頃の男は性欲も盛んである。女子は知らないというかわからないが。
「まったくお前らはそれもすきだな」
「あら、三浦さんも混ざりたいなら自由にくればいいわ。私はいつでも歓迎よ」
「んー、今のところは遠慮しておくかな。気が向いたら入れてくれよ」
これは混ざらないほうがいいという勘が三浦にも働いたのだろう。それはおそらくあっていることだろう。それにしても何とも言えないことの光景はもう見ることがないと信じたいものだがきっとそれはかなわないかもしれない。
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ちょっと短いですね。申し訳ないです。温泉は今日で終わらせるつもりだったのですが、なかなか難しいです。明日更新する分では絶対に終わらせられるように頑張ります。まあ、頑張るも何も文字数を書けばいいことなのですが、僕は結構筆が遅い方なのでそれが難しいことでもあります。文字数を求める方には本当に申し訳なく思っています。とは言え、もう少し増やしたいとは思っていますのでよろしくお願いします。明日も体調が悪くない限りは更新しますのでよろしくお願いします。
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