君は今日から美少女だ

藤原

前日1

 朝は絶対に眠いが起きないわけにもいかない。起きなければ学校にも行けないし、友人との会話を楽しむこともできない。電車通学の俺は駅で友人と会うことが多い。とは言っても、部活も違うので電車がいつも一緒とも限らない。


「おはよう。あれ、どうして姉ちゃんがいるの」


「昨日飲みすぎてアパートに帰るのが面倒になっちゃって」


「ダメ大学生め」


 こういう大学生ほど優秀なのだと言われるが姉もその例に漏れることなく優秀だ。世間一般で一流と言われる私大に通っている。俺はそこには入れないだろう。それにまだ進路は決めていない。第一高校一年生で具体的な進路を描いている奴なんてどれほどいるのか。


「あら、恵也には言われたくないわね。朝にすごく弱いんだからね」


「言ってろ」


 朝ご飯を食べて家を出る。今日は朝練もないし特に急ぐ必要もない。姉は朝食を食べたら二階へといった。出かけるときに部屋のドアが開いていたので見てみると寝ていた。まったくお気楽な奴だ。


 今日は晴れていて過ごしやすい日だ。時期はゴールデンウィークも終わった5月の後半。高校生活にも慣れてきた。宿題は多いが、どうにかやっていけている。


「あら、おはよう」


「おはよう。美海は朝から元気だよな。その秘訣はなんだ?」


「突然何を聞くかと思ったらそんなことか。でもいいわ答えてあげる。私が思うに、寝る時間と起きる時間を平日休日に関係なく固定してしまうことだと思うよ」


「それができれば苦労しないんだけどな」


「大体の人はそうだと思うな。私、色々な人に同じようなことを言うと恵也と同じような反応がほとんどだったんだ」


 そりゃそうだ。というか、同じようなことを聞く人がいたんだな。それだけ美海が朝以上に元気だということなのか。学校に行ってもそれが変わらないんだもんな。俺もそろそろ頭を動かしていかないと。

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