第1章―争いの砲弾―1

――誰かが投じた一石で争いが起こった。世界の混乱は次第に大きな波紋へと広がり、たった1つの小石が波紋を描くように世界は闇の混沌へとのみこまれた。そして、変わりに闇は人々から朝と昼の太陽を地上から奪い去り、変わりに闇が地上を暗黒へと支配した。


闇は光を奪い太陽も隠して、天地を暗黒へと支配し続けた。地上では人々の醜い争いが治まる事はなかった。誰かが銃を持ち。また一人、また一人と、人を次々に殺していった。混沌とした世界に理性を失った人々は互いを歪み合い傷つけて、争う手段しか答えは見つからず、誰一人の声もその者達に届くことは無かった。


地上を覆った戦火の炎は絶えることもなく、そこにある物全てを焼き尽くし、大地へと呑み込んで無に還した。怒りと憎しみと憎悪と悲しみに膨らんだ人の心はやがて人間を醜い化け物に変えると人間の残虐性はさらに増して行き。各地で広がる虐殺行為も次第に途絶えることも無くなった。


地上は戦いの武器で溢れると、朝と昼と夜も各地で広がる銃声の音は途絶えることも無く。大地は沢山の人々の血で赤く染まり、誰かが流した血が大地へと流れた。


人が作り出した兵器は自然を焼き払い、人間以外の動物や、自然の命すらも瞬く間に奪い去った。憎しみで放たれた砲弾は自然そのものの生態系を壊して汚染させた。そして、大地は人々が作り出した兵器によって大規模に汚染された。


やがてついには侵食化が進み。汚染された大地に生命が生まれることもなく、次から次へと無惨に荒れ果てながら荒廃していった。自然の調和が崩れても人々はそれでもまだ争いをやめずに人類は争い続けた。そして、生まれて行く命をまた一つその手で紡ぎとるのだった。


 黒煙は空気に混じり空を黒く染めると、地上を覆った黒煙は人々を次々に苦しめた。有害な煙りとなった黒煙は人体に大きな影響を与えた。その毒ガスは体内の細胞を壊して死滅化させて体内を汚染させながら人を死の恐怖へと誘う自然が作り出した究極の魔の兵器。人々はそれを『死の神』タナトスと呼んだ。


人類が争う為だけに生み出された兵器は、数々の自然を壊す事となった。そして、その代償は余にも大きな爪痕を人類に残す結果となった。


 タナトスの有害な煙りは世界に脅威的な猛威をふるい。そして、有害な煙りは空気に混じって姿を変えると各地では、タナトスによる空気感染が始まった。世界はタナトスの脅威に曝されると、人類の大半がタナトスの空気感染によって次から次へと命を落とす事となった。


黒煙のように染まった空には光も空も無く、そこにあるのは果しない漆黒の空だった。空を見上げて人は初めて自分達の犯した愚かさに初めて気がつく。一人の男は大地に佇み、何も見えない空を見上げて呟いた。



「神は我々を見捨てたか…――」


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