第14話 美しいドリアード族の女性達。


ニア「アリーシャ、、様、、」


そんなアリーシャを悲しげな表情で見つめるニア


アリーシャ「なんだ!どうした!

     そんな辛気臭い顔は

    いつものニアらしく無いぞ!

    ソニンも言ってただろう?

    一世一代の晴れ舞台だ!

    英気を養って万全の、、」


ガバッ!!

ニアがアリーシャに突然抱きつく


ニア「アリーシャ様、、いえ、あーちゃん!

   ごめんね!!!」


アリーシャ「な、なんだ?どうしたんだ?

     なんでニアが謝るんだ?」


笑顔が固まったまま、ニアにしがみつかれる事と急に幼少の頃の呼び方に戻ったニアの謝罪に戸惑うアリーシャ


ニア「小さい頃から高過ぎる魔力で

  いっぱいいっぱい!苦労して!

  なのに天才だ!化け物だって言われても

  逃げたい気持も!

  助けを求める気持も押し込めて!

  いつも人前では気丈に振る舞って!」


目尻に涙を溜め、アリーシャを強く抱きしめながらアリーシャの生き方を代弁するニア


アリーシャ「ニア、、、」


笑顔から少し困った表情となるアリーシャ


ニア「いつも何かあると

  先頭に立って立ち向かう!

  そんなみんなの為に頑張ってる

 あーちゃんに【暴虐のアリーシャ】

   なんてつけてさ!

   老人どもまで勝手に

   族長まで押しつけて!!」


アリーシャ(暴虐は確かに無いよなぁ、、)


19歳と言う年齢はエルフ族としては、子供同然であり、日本で言う所の高校生が内閣総理大臣になるレベルであるが、全体の戦力を統括するより、個人戦闘力の高さがものを言う世界である事から、エルフ族の中ではずば抜けた戦闘力を持ってしまったアリーシャは、ある事件をキッカケに、畏怖と尊敬を込めて【暴虐のアリーシャ】と呼ばれるようになり、その時の功績から族長に半ば無理矢理選ばれたのだった。



  

ニア「それにさ!!

  デーメステーエル神様の加護が弱ってる

  のもあーちゃんの責任にして

  なんとかしろなんて無責任に騒ぎたてる

  エルフ達にあーちゃんは!

    あーちゃんはさ!!」


先程までの冷静さは無く、只ひたすらにアリーシャの事を想い涙しながら抱きしめる力を更に込めて叫ぶように言う。


ニア「【任せろ!】て言って!!

  毎日訓練したり、

  意味わかんない資料読み漁ってさ!

  何日も!何ヶ月も!何年も!

  頑張って来たのに!!

  最後は人柱になるなんて!!」


涙を流し続け、怒りと悲しみでどうにかなってしまいそうな程感情を爆発させるニア


アリーシャ「ニア、、ありがとう、、

    ウチの為に、、でも、、

    結局、デーメステーエル神様を

    救えなかった、、、だから」


ニア「だからミカゼ様に任せるしか無い!

   そうよ!リアリナ様ですら

   どうしようも無くて!

   それしか方法ないのよ!

   だからあーちゃんに

   人柱を頼んだのは私よ!

   ねえ!あーちゃん!

     怒ってよ!!!

   私達ドリアードを責めてよ!!

   生まれた時から死ぬまで他人の為に

   生き続ける定めを押し付けた

   弱い【眷属】なんて、、」


アリーシャ「それ以上は言うな!!!」


アリーシャはそう言うとニアの両肩を掴み引き剥がすと、目線を合わせて続けた。


アリーシャ「デーメステーエル神様の

   加護を持つ我等エルフ族が

   どれほどドリアード族に

    助けられて来たことか!

    今回だって1番多いじゃないか!

   記憶や意思を共有出来るからって

   個体意識が無い訳じゃ無いんだから

   一人一人が一つの生命じゃないか!

   確かにウチは努力をしたけど、それは

   ニア達ドリアード族の献身的な姿を

    見続けて来たからだ!

   ドリアード族を通して

   デーメステーエル神様様の

  慈愛を感じるからこそ頑張れたんだ!

   そんなニア達ドリアード族を

   責められる訳無いじゃないか!!

  責めるなら結局ミカゼ様に託すしかない

     弱い私自身だよ!!

  だから今回の作戦で初めて

  デーメステーエル神様が救われる

  存在が現れた事で!やっと!恩返しが

  出来る機会を貰えた事が本当に、、

  本当に、、嬉しいんだよ、、

  ただ、、デーメステーエル神様が

  救われる瞬間に

  立ち会えない、、ただ、、

  それだけが心残りなだけだよ、、、」


そう言うと儚げに微笑むアリーシャ。


ニア「あーちゃん、、

  あーちゃんがそう想ってくれてたのは

  凄く凄く嬉しいよ!でも!でもね!

    【心残り】がそれだけなの?

    本当にそれだけで良いの?」


涙で潤んだ瞳で真っ直ぐアリーシャを見つめながら問いかけるニア


アリーシャ「そうだな、、

     後は泣き虫な相棒

     とお別れするのは寂しいし

     悲しいよ、、出来るならニアには

     生きて欲しいが

    ウチとは一心同体だからな、、

     日頃は頼もしい存在だが

    こんな時はその事を悔やむしか無い

     のが嫌だな、、、」


幼少の頃よりパートナーとなった

ドリアード族のニア



エルフ族に限らず、ファーシンア国ではアリーシャや総長の様に強い力を持って産まれた者には、

その者が間違った力の使い方をしない様に、監視する役目を負ったドリアード族が時には【友】だったり、【妹】や【姉】だったり、と密接な間柄となり【教師】だったり、【秘書】などの様々な役目を持って正しい方向へ導く役目を負っているのだが、

それだけでは無く、魂をパートナーとなるドリアードと繋げ、

何らかの形で害悪となってしまった場合は、その異常を素早くドリアード族が知り得る事となり

最悪の場合は、魂の繋がった者を始末する為に、

パートナードリアードを死滅させる事により

害悪となってしまった者も死滅させる事で被害が及ぶ前に対処出来る事が出来るのだ。


過去、強力な憑依型モンスターが現れた際に、

高位の者が取り憑かれ甚大な被害を受けた過去があった為に、強い力を持って産まれた者には必須の事なった。


その為、ドリアード族のパートナーを持った者達は、幼き頃より、パートナーは一心同体であり、

死ぬ時は共に死ぬ事を教えられている。




ニア「私だって!

  あーちゃんには生きてて欲しいよ!!

  でも!駄目なのよ!

 ドリアードには強い攻撃魔法は使えない!

 だからあーちゃんしか出来ない事なのよ!

  ようやく、、、

  やっと、、あーちゃんが

  【恋】したのに、、

  なのに、、

  なのに!!

  死ななにゃいけないだなんて!

  そんなのあんまりよ、、」

  


泣きながら語尾を弱々しく呟くと俯くニア



アリーシャ「ちょ!

    ちょっと待ってくれニア!

     私がいつ!誰に!

    こ、【恋】なんてしたんだ!?」

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