早朝、街の青は霞んでいる

夏が迫る

「私たちずっと一緒だね」っていう君の横顔がわたしはこわい。手を繋いできらきらして、このままどこまでも行けてしまえそうな心地になるのはどうしようもない、多福感、による背徳感、喪失感、逃走本能。


しあわせの四文字はぜつぼうの四文字と表裏一体


君の肌がなまぬるい。夏が迫る。


この手をとったらきっとふたりだけで夏の星座になれるのに、そうできないのはどうして、

まなつの夜の海にふたりで行こうねっていえたらいいのに、そしたらいつまでもどこまでも溶けあってひとつになれるのに、どうして、

この手をとれない。


働いているのは逃走本能

迫りくるは夏の幸福

「私たちどこまでも一緒だね」ってほほえむ君の横顔からのがれたい。


夏のひかりが影をつくる

夏のひかりが影を殺す


夏が、迫る

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