ブラックボックス3

「ですわですわですわ!」蛸型携帯端末の向こうでツボミが捲し立てる。また怪物が現れたのだ。あの能異頭ノイズは倒したはずだ。つまり別の個体がやってきたことになる。


能異頭を呼び出す?あるいは生み出している存在がいる?マカネは先日出会った少女を思い起こす。彼女は自分が女王と語っていた。


彼女自身も変身していた。現れたと言う怪物がウヅメの可能性もあるが、マカネにはそうは思えなかった。彼女は女王と名乗りながら能異頭と戦っていた。


確かめる必要がある。自分の体を取り戻すためにもこの世界に訪れた変化が意味のあるもののように思えたのだ。ダイセンの言葉がひっかかっていたのかもしれない。



カマキリのような能異頭がビルの間に立っている姿は現実に非現実を貼り付けたような違和感を感じさせた。能異頭”解体真実リアルリーパー”はそのカマのような手でビルに触れた。すると壁が剥がれ鉄骨やコンクリートに分解されていく。


権能パワー・解体真実は手で触れたものを分解する権能だ。かつて人間であった時の解体願望が代替宇宙の意思に触れて進化し歪んだ在り方、それが能異頭だ。


能異頭”解体真実”、カマキリノイズは自らの権能に歓喜していた。この権能でガフを、この地下世界全てを元々の構成要素まで解体する。それこそが未来全能者の意思である。


その力の一端を授かった自身は、やはり選ばれしものなのだ。自らを解雇したスポンサーは愚かにもビルと共に解体されたのだ。


「ははは…はは…ははははは!」能異頭が震え不気味に笑う。だが不意に衝撃!自分と同様の巨大質量がぶつかってきたのだ!μTミュートだ!


「こんどは不覚は取りませんわ!わたくしはお嬢様ですもの!」蟹めいたアームヘッドの中でツボミが叫んだ!愛機μT -SCSSORBUSTERシザーバスターも主人に応えるかのように唸った。

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