瑞っ子の異常な愛情 ―または私は如何にして心配するのを止めて真似するようになったか―

ぶっくばぐ

はじめに

 秋山瑞人あきやまみずひとという作家がいます。

 遅筆、寡作の為あまり有名とは言い難いですが、SF・ライトノベル界隈では文章力のある作家として一定の評価を受けています。

 詳しくはウィキにも載っていますが、書かれる文章は非常に独特で、万人に受ける、読んだ100人中100人を刺すものではないのかもしれません。しかし運よく、または運悪く刺された人間は、致命的なナニカに感染し、「新刊マダー?」と毎年うめくゾンビと化します。その熱狂的なファンはみずっ子と呼ばれ、私もまた、まごうことなき瑞っ子です。


 私が感染したのは10代の頃でした。

 幼い頃から本の虫で、一般文芸、純文学、海外翻訳作品からライトノベルまで乱読していた私が、初めて「すごい! なんておもしろい文章だ」と思った作家です。

 私にとって小説とは、あくまでストーリーを楽しむための媒体で、当時、文章を意識したことはありませんでした。だからよく言われる上手い文章、綺麗な表現という単語もピンときたことはなく、ただただ物語に耽溺していたのです。

 そんな私にとって出会いの衝撃は計り知れず、あれから膨大な数の作家作品を読んだ今なお、ジャンルを問わず「日本で一番文章が巧い作家」という位置づけです。


 小説を書くにあたって、心酔している作家の文章は意識せざるを得ません。ある小説家は、好きな作家の影響から脱するために、自分の蔵書を焼き捨てたというエピソードがあるくらいです。

 私自身、格好いい文章を書きたい、文体を真似たい、でも正直パクリとは呼ばれたくない、いや文章ってパクれるものなのか、と四苦八苦するうちに、色々と思うことが増えていきました。

 文章表現、文体ってなんだろう?

 なぜ秋山瑞人の文章に強烈に惹かれたのか。

 真似できること。できないこと。

 文章の好み、合う合わないの正体とは。

 読書、文章を読んでいるときに頭の中では何が起こっているのか。


 そんなこんなをつらつらと、思うにまかせて書き連ねていく素人の駄文です。

 読んでいただいた方には100万の感謝を。

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