第2話 才能とは

俺と彩には両親がいない。

俺が13才、彩が11才の時に両親が離婚した。

はじめは、何かの冗談かと思っていたが両親が書類にサインをしていたのを見て、それが現実だと理解した。


母親に引き取られた俺らは、貧しい生活に耐えながら1年ほど経ったある日のこと。

プルルル、、プルルルー

あっ 電話だ。

「もしもし 相模原総合病院です。 細田さんのお宅でしょうか」

「病院? はい  そうですけども」

「今すぐきてください お母様が、、、、、、」

「母が? わかりましたすぐ行きます」

彩を連れて、俺は家を飛び出した。

その病院は家から徒歩圏内にあり走れば、ものの5分ほどで着く。



ガッチャン

「母さん 大丈夫か!」

暗い病室の中には、小太りの医師が1人佇んでいた。

「あなたのお母さんは、、、、もう」

「か、あさん」

「おかあさあーーんー」

彩は、この現実に向き合えず泣いてしまっている。

俺も本当は泣きたかった。苦しかった。

その時、少しだけ母の口元が動いた気がした。

「光輝、、、、、彩をよろしく」と

俺は覚悟した。どんな状況に陥っても彩だけは守ると心に誓った。



そして、母の命は燃え尽きた。

トラックとの激突事故にパート終わりの母が巻き込まれたそうだ。




俺たちは養ってくれる人がいなくなった。

親戚に裕福な家庭がなく、どこも引き取りできないと断られていた。

断られるたびに、彩の顔に暗く沈む。もう見ていられない。俺は彩を悲しませたくなかった。

とりあえずってことで、保健所に引き取ってもらえたがそこまで待遇がいいわけでもない。

ある時彩がこんなことを言ってきた。

「光輝お兄ちゃん 私この服が欲しい」

「うん? 見せてみろ」

「これだよ」

そう言って彩は、施設の子供達共有のパソコンを俺に見せてくる。

そこには、花柄のワンピースが映っている。えーっと値段は、、、3万か、、、俺のお小遣い注ぎ込んでも足りないな。

「彩、もう少し待ってろ、 お兄ちゃんが絶対買ってやるからな」

「ありがと 光輝お兄ちゃん! だーいすき」

俺は彩のこの笑顔があるだけで、なにもいらないと改めて思った。





___________________________________

中学校でもお金がないことは友達作りの弊害になって

「光輝ー 今日サイゼ行かねー?」

「悪い 勉強する」

「えー お前いつもこないけど 付き合い悪くないー」

彩の洋服を買うためだ。余計な経費は避けたい。

「悪い また誘ってくれ」

俺は今日から、全く遊びに誘われなくなった。そしてクラスで俺はハブられていた。


学校が終わって下校時間になる。

すぐに施設に帰ってもつまらないから、寄り道をしていた。

金はかけれないのでいつも通り河原で、図書室から借りてきた本を読む。

ラノベっていったかな?結構面白い。これを読んでいれば嫌なことは現実世界においてきて、物語に入り込める気がした。


1時間程読んでいた時、肩をトントン叩かれた。

読書の邪魔をされ少し不快感を感じながら顔を上げる。そこには俺の幼馴染み魅音が立っていた。

「光輝 1人で何読んでるの」

見上げた彼女には、落ちかけた夕日が当たっている。

艶のある長い黒髪。細いが出るところはきちんと出ているキレイな体。

本の中から出てきたみたいに、美しかった。

「、、、、、、」

「って 光輝聞いてるの!」

「あっ 悪いぼーっとしてた」

「また、、 妹さんのこと?」

「ああ まあそんな感じだ」

「ばか! 光輝のばか! 少しくらい私にも話してくれていいじゃない幼馴染みなんだから」

「幼馴染み、、、か  苗字が変わったけど」

「はあー そんぐらいで切れるキズナぐらいとっくに切ってるわよ」

「俺は魅音にもこの辛さを移してしまってもいいのかな」

「いいわよ 辛いことは2人で半分。嬉しいことは2人で二倍でしょ」

「っはは」

「っちょっと 何笑ってるのよ!」

「ごめんごめん 懐かしくて」

「本当にいろいろあったわね」

「ああ 本当に話していいのか?」

「いいっていってるじゃない 男のくせにうじうじうるさいわね」

「わかった」

俺は魅音に全てを話した。

妹を幸せにしてあげたいこと、ワンピースを欲しがっていたが買ってあげられないこと、クラスではぶられていること。


話終えて、魅音の方を見るとぐすんぐすんと泣いている。

「光輝はそんなに辛かったんだね よく頑張った」

そういって、頭をよしよししてくる。

恥ずかしいので、やんわりと手を押し返す。

「魅音 やっぱり話さな、、」

「何いってんのよ! 大丈夫よ」

「そ、そうなのか?」

「ええ そうよ  明日うちに来なさい」

「ああ わかったが何で、、」

俺の質問は無視して、スタスタと歩き去ってしまった。





この提案が俺を作詞家にした。





________________________________

あとがき


たくさんの人に見てもらえますように。

ハート、フォロー、ほしお願いします。

では、また

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る