蒼光のバアルブレイカー

居間建カズ

序章

 背後にはオークたちの軍勢。街の全ては破壊され火の海と化していた。


 ルカはオリビアの手を引いて必死に坂を駆け登っていた。


 オークたちに追いつかれてしまえば、二人とも殺されてしまう。


 せめてオリビアだけは自分の生命いのちに代えても守る。


 その決意を胸に、ルカはオリビアの手を力く握り締め坂を必死に駆け上がった。


 ————ルキウスの丘の上に向かえ。そして聖剣を抜くのだ————。


 父からの別れ際の言葉。


 ルカはルキウスの丘を目指していた。もう間もなく到着する。丘はもう目と鼻の先の距離。


 微かに見える青白き光。大きな岩の上に突き刺さるいにしえの剣。


 目の前に見えるあれは、間違いなく聖剣エクスカリバー。


 太古の昔、史上最強の剣士とうたわれた勇者ルキウスがその手に握っていた最強の一振り。


 ルカはオリビアの手を強く握り締めながら、必死に青白き光を帯びた剣を目指した。


 オークたちはすぐ後ろに距離を詰めて追ってきている。もうどこにも逃げ場は無い。とにかく剣の元へと辿り着かなければならない。


 あと少し、あともう少しと聖剣へと手を伸ばす。


 その剣をこの手に握ったとしても、何かしらの奇跡が起こる保証はどこにもない。


 何の確証が無くとも、ルカはほんの一縷いちるの望みにかけて、ただひたすらに丘の上の岩に突き刺さる聖剣を求めた

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