TIME LIMIT タイムリミット

今日も陽葵の病室に行った。今日はちょっと雨が降っている。

私は陽葵にプリント類を渡したり、話をしたりした。

私の学校での話、陽葵の病院での話などをした。いつのまにか私が病院に着いてから1時間半過ぎていた。

すると、陽葵が「ねぇ、咲良!良いところ見つけたんだ〜!ちょっとついてきて!」と言った。

私は『どこだろう?』と思いながらも、「分かった!」と言った。

すると、陽葵は、「じゃあ行こ〜!!」と笑顔で言いながら立ち上がった。


君は歩き方が少しおぼついているように見えてしまった。私は、『体力が減ってしまったのかな』と思った。


数分後、私が陽葵に連れてこられたのは病院の屋上だった。

ただの屋上ではなかった。そこには色とりどりの花が咲いていた。いつのまにか降っていたはずの雨は止んでいて、青空には虹がかかっていた。

私は「虹だ!綺麗…」と思わず声に出してしまった。陽葵はその声を聞いて「うん!綺麗だね…」と言った。


虹がかかっている青空の下に花が咲いていて、鳥が鳴いていて、さっきまで雨が降っていたからか草や葉っぱには水滴がついていて…。それはもう絶景だった。


そんな絶景の中で君は目を輝かせて、とても笑顔だった。

君の闘病生活が始まってから私は目を輝かせてとても笑顔の君を見ることはなかった。それなのに、君は目を輝かせて、とても笑顔だ。私はそれが嬉しくて、もっと笑顔になった。


君はいつも笑顔だったけど、その笑顔は________の笑顔だ。私を悲しませないように。私を心配させないように。優しい君だからこその行動だろう。でも、私は君が陰で泣いていることも知っていた。


1週間前のこと。

私は、家に帰ることになって、君の病室から出た。そして、病院のエントランスに行った時、忘れ物に気づいた。私は君の病室に行った。すると君の病室から嗚咽が聞こえてきた。君は、泣いていた。突然余命宣告されて、闘病生活を始めることになって、抗がん剤の副作用も酷いのだから、無理はないだろう。それでも、私の前では笑顔でいてくれる。だからこそ、1人のときだけでも、そっとしておこう。私はそう思って、忘れ物は取らなかった。

その翌日、つまり君が泣いているのを見た日の翌日、私が病院に行くと、君はやっぱり笑顔で迎えてくれた。『どれだけ優しいのだろう。泣いたっていいのに。』私はそう思ったが、『私が変な風に言っても、嫌に思われるかもしれないから、今まで通りいよう。』そう思ったのだった。

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