結婚の約束をした幼なじみが呪いの本に結婚させられそうになる話

■あらすじ

 幼馴染の少年少女が結婚の約束をする。そんなお約束を実行した男女はお約束のように疎遠になり、もう相手の顔も忘れてしまった。


 16歳の誕生日、少女は自分が見知らぬ部屋で寝ていることに気づく。そばで眠る見知らぬ少年にパニックになり彼を起こす。状況を確認するため部屋を出たところ二人の両親と出くわし、そこでようやく少年と少女はお互いが幼馴染だと気づくのだった。引っ越しの挨拶にきて勢いのまま泊まったじゃないかと説明され、わけのわからない少年少女はそんな記憶はないと主張するも軽くあしらわれてしまう。


 なぜか幼馴染の少女(以下、幼馴染少女)の受験していない高校に通うことになり、幼馴染の少年(以下、幼馴染少年)と同じクラス、隣の席、同じ委員会、同じ文芸部に所属することに。さらには公認カップル扱いされる。意味のわからない怒涛の展開に幼馴染の少年少女は憔悴する。幼馴染少年には片想いの相手がいた。幼馴染少女にもいい迷惑だった。呪いみたいだという彼の言葉で幼馴染少女は思い出す。昔一緒に絵本を読みながら結婚の約束をしたことを。絵本に立てた誓いを。

 慌てて互いの自室を掘り起こし絵本を見つけた。最後のページには幼馴染の少年少女の署名と永遠に共にあると誓いが刻まれていた。幸い呪いの解除方法を見つけるがそれがまた悩みの種だった。現在は仮契約の状態であり、本契約を結ぶことで呪いを上書きできる。他の誰かが身代わりになれば、呪いは消える。

 他人を犠牲にする以外の解決策が見つからず途方に暮れる中、幼馴染少女と文芸部の仲間との仲が深まっていく。幼馴染少年の想い人である文芸部の部長(以下、部長)の家でケーキをごちそうになりながら、幼馴染少年の親友(以下、物書少年)の書いた小説を読ませてもらったり。


 ある日、普段から病気がちな部長が入院することになり、幼馴染少年は文芸部仲間の物書少年と幼馴染少女と共に見舞いに行く。見舞いを繰り返すうち目に見えて進展していく部長と物書少年の仲に、焦った幼馴染少年は部長に告白するもフラレてしまう。その後付き合い出した部長と物書少年に気落ちする幼馴染少年は、彼を心配した幼馴染少女との時間が自然と増えていくのだった。

 部長の体調が日に日に悪くなり、分が悪い手術をすることが決まった時、幼馴染少年は気づく。呪いの力で彼女を助けられるんじゃないか。幼馴染少女と相談の上、物書少年と部長に呪いの本のことを打ち明ける。契約したら二度と離れられない呪いの本、それを使うだけの覚悟があるか?

 答えを求める幼馴染二人に、部長と二人で夜通し考え抜いてみた物書少年は、未来はわからないとぶっちゃける。部長もわからないと笑う。でも、今可能性があるなら縋りたい、一緒にいたい。そう言って誓いを交わした。


 一ヶ月後、退院する部長と物書少年を見送って幼馴染少年と幼馴染少女は帰り道を歩いていた。幼馴染少女は問う。うまくやれば自分が部長の相手になることもできたはずだ。後悔はないかと。幼馴染少年はもう呪いはウンザリだと苦笑する。自分の想いは自分で叶えたい、だから覚悟しておいて。決意のこもった幼馴染少年の表情を見て幼馴染少女は首を傾げる。



■物語の障害

・呪いの本に結婚させられそうになる。

 →物書少年・部長のカップルに肩代わりしてもらう。

 →子供の時の話とはいえ破局したカップルである幼馴染の少年少女が永遠の愛を問う何様感。

 →答えが出ないまま本人たちに選んでもらう。

・幼馴染少年が心変わりする。

 →幼馴染少女の意思を無視して、呪いのままでもいいんじゃないかと考えてしまう幼馴染少年の自己嫌悪。

 →呪いを解いて自力で頑張る。

・部長の命を救うために物書少年の人生を賭ける。

 →部長がモヤモヤする。

 →高校生なりの家族計画、理想とする未来を伝えあう。



■登場人物

・幼馴染少女

 高校2年生。16歳。

 ジャンクっぽい料理が好きで、家族の誰もつくってくれないので自分で作っている。基本カロリー高めなので母親には不評。

 知らない景色を歩くのが好きで知らない裏道があると潜り込んでよく迷子になっている。


 小学2年生のときに引っ越してきた幼馴染少年が初恋で、告白して恋人になる。幼馴染少年がまた引っ越すことになった際に大げんかになり、素直になれず便りを出せないうちにお互いが引っ越し。連絡がつかなくなる。

 幼いころはお転婆で工事現場や裏山に秘密基地を作って遊んでいた。公園の角で絵を描いていた幼馴染少年の邪魔をして、殴り合いのケンカに発展した後友情が芽生える。幼馴染少年の描く絵が好きで秘密基地で彼の描く風景がを眺めるのが一番の幸せだった。



・幼馴染少年

 高校2年生。17歳。

 親が転勤族でしょっちゅう引っ越しを繰り返していた。

 ぼーっとして見えるが見た目よりアクティブかつ落ち着いた性格。すぐ顔に出るので隠し事ができない。

 趣味は絵を描くこと。動物と風景を描くのが好き。

 物書少年に誘われた文芸部で絵を描いている。物書少年の小説に絵をつけることも。


 小学2年生のときに引っ越先で幼馴染少女と出会い恋人になる。小学5年生のときに再度親の転勤があり、離れ離れに。お転婆だった幼馴染少女に振り回されて秘密基地等でよく絵を描いていた。



・文芸部の部長(幼馴染少年の想い人)

 高校2年生。17歳。

 文芸部の部長。

 病弱だが性格が明るいためあまりそうは見えない。

 チーズやチョコレート菓子を作るのが趣味でよく家に部員を招いて披露している。文芸部員は部室並に彼女の家に親しみを感じている。


 幼馴染少年の反応が面白いためよくからかって遊んでいた。家族に彼女と幼馴染少年が付き合っていると勘違いされていて、自業自得ながら好きな人に誤解されそうで焦っている。



・物書少年(幼馴染少年の親友)

 高校2年生。16歳。

 幼馴染少年となにごとも趣味が合い、だいたいいつも一緒にいる。女性の趣味も似ていて幼馴染少年と好きな人が被る。

 文芸部で小説を書いている。最近絵本に興味が出てきたので幼馴染少年と合作できないかと構想している。


 実は幼馴染少年と幼馴染少女の幼馴染で、彼も幼馴染少女のことが好きだったが幼馴染少女は彼のことをおぼろげにしか覚えていない。彼は物語を、幼馴染少年は絵を描いては幼馴染少女に自慢していた。

 中3のとき街に戻ってきた幼馴染少年と再び親友になる。



■舞台(時代背景)

 幼馴染少年と幼馴染少女の出会った町が舞台。幼馴染少年と幼馴染少女はそれぞれ他の街に引っ越していたが、呪いの本の力で誓いを立てた町まで少しずつ引き戻された。



■その他設定

・小さい頃16歳で結婚できると母親に聞いたので16歳の誕生日に誓いを立てた。

・日本の法律上16歳では結婚できないため、呪いが少し抑制されて結婚まではいかなかったギリセーフ状態。

・幼馴染の少年少女の冒険先の一つに廃館があり、誰かに呼ばれた気がして内部を進むとそこに呪いの本があった。



■その他アレコレ

・創作では結婚の約束をした幼馴染が結ばれる話がチラホラありますが、実際あったらホラーか呪いの類だなーと考えていたらこんな話に。

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