超兵器NEO

プロローグ

旭日、今まさに中天の時

　二〇三X年、宇宙人の襲来からエネルギー資源の枯渇を免れた日本は、世界一の覇権国家になっていた。

　多くの日本人は、その事に満足して安堵していた。減少傾向にあった人口は急回復し、世界中の優秀な人間が集まって来る。まさに日本は無欠の満月を詠むが如く。

　しかし天下無双の地位に慢心せず、これより永遠に世界を主導する唯一の国になるつもりだった。

　今の日本はエネルギー資源の最大輸出国であり、自国内で生産される電気を、様々な形で輸出している。

　だが、その電気を生み出している発電システムだけは、絶対の秘密とされた。明らかになっているのは、それが十年前に地球を訪れた宇宙人から供与された物という事だけ。

　この発電システムは、その宇宙人――リラ星人の名を取って「利式変換機」、または「Lコンバーター」、「エルコン」などと呼ばれた。

　エルコンに関して国外から危険性を指摘する声もあったが、それは嫉妬・やっかみの類だとして、日本政府は黙殺した。エルコンは日本を覇権国家にまで押し上げた原動力なのだ。これを手放す事は到底考えられない。

　それは政府だけでなく、国民もまた同じ気持ちだった。日本の優位はエルコンにあり。エルコンは日本が宇宙人の支配を許すという屈辱に耐えて、勝ち取った物。そうした意識が強かった。

　日本政府は将来に亘って日本の地位を絶対のものにし続けるため、ある計画を立ち上げた。

　それはNEO計画――未来予測システムによって、全世界を完全に掌握する計画である。