第13話


「それじゃあ神野くん、またね」


「おう、またな」


俺たちは部活が終わり、一緒に下校。家の前で別れた。


時刻は6時過ぎ。これからどうするかと思い、とりあえず俺はイヤホンで音楽を聴きながらパスタを茹でた。


正直なところ俺は対してパスタは好きではないのだが、家にパスタしかないなら仕方ない! 空腹をパスタでバスター!

と謎の深夜テンションでパスタを完食。パスタとスパゲティの違いは何なのだろうかと思いながら食器や鍋を洗い、テレビでも見るかとイヤホンを取った。


が、イヤホンを取ると何やら二階からごそっという音がした。


おい、あいつまた来やがったよ。せめて俺が部屋にいるときにしてほしい。ふつうに不法侵入だぞ。


階段をバタバタと上がり俺は部屋のドアを勢いよく開けた。


「おい! お前何勝手に入ってきてんだ! 」


案の定部屋の中には小牧がいた。


一瞬ビクッと俺の登場に反応して恐る恐るこちらを向く。


「あ、あら神野くん。奇遇ね」


「いや、今頃誤魔化しても遅いと思うぞ」


というと小牧はカァっと顔を赤くしてそっぽを向いた。


「お前、せめて玄関から入ってこいよ…」


「そんなのダメに決まってるじゃない」


と言いながら俺は部屋を見回した。


…散らかりすぎだろ!


そう。俺の部屋はいつもきちんと片付いている。ベッドはしっかり整えているし、ものは散らからないようにしっかり棚なり引き出しなりに綺麗に入れている。


なのに今はベッドはぐちゃぐちゃだし引き出しや棚に整理整頓されて置いてあるものも絵に描いたように散乱していた。


「おい。お前何してたんだ? 」


俺は少しドスの利いた声で言った。

「私の夫の生活チェックよ」


何でやねん。夫ちゃうわ。


「その結果不適切と判断される物を計13個程度発見したわ」


「お、おい。それって…」


俺は激しく狼狽する。そういえばベッドの下も鍵のかかった引き出しも何やら荒らされたような形跡がある。

ま、まさか…。


「1番はこれね、何で私というものがありながらこんなものがあるのかしら? 」


小牧が見せてきたのはちょっぴりあれな雑誌だった。


あ、18禁の方じゃないよ? あくまでちょっぴりだからね?


「……」


俺は無言を貫いた。女子にグラビア雑誌を見られたのが恥ずかしくて仕方がない。


「お、お前…どうやって引き出しを開けた…? 」


「それはもちろん鍵を探したわ。まあ、案外簡単に見つかったけれどね」


俺は無言で小牧に近づき雑誌を奪い取った。


「他にもたくさんあったのだけれど、やっぱり神野くんは胸が大きくて黒髪のポニーテール。の女の子が好きなようね」


「やっぱりって何だよ! もう俺の部屋を弄るな! 帰れ! 」


その言い方だと前から知ってたみたいじゃん! 今知ったんだよな?


俺はそう言って部屋を片付けようとしたのだが、手を引かれ、ベッドに押し倒された。最近はこのようなことばかりなのでなんとか平常心を保てはるようになった。


が、それでも上から覆いかぶさってくる小牧の色っぽさに動揺したのは確かだ。や、やばい! 色々な場所がはだけそうだから!


「な、やめろ! 何してんだ! 」


「ねえ、胸が小さいのは、いや? 」


小牧は自分の胸を押し当て的ながら言った。いや、待てたしかにあまり大きくはないがお前のだってないわけじゃないんだ! 当たってる! あたってるから! と脳内では言いながらも俺は出来るだけ表情に出さずに声を出した。


「べ、別に大きさにこだわりなんかねえよ…」


俺は女子相手に何をいっているのだろうか。


「そう。よかった…」


何がいいんですかね!?そういうのは困るんですよ!!


「なあ、もう離れてくれないか? 」


「私にくっつかれるのは嫌なの? 」


「そういうわけじゃなくてその、暑い」


俺は1秒でも早く離れてもらおうと力を入れて小牧を引き剥がした。


「むぅ…」


小牧は拗ねるように頬を膨らませる。


「仕方ないわ。今夜は戻るわ。おやすみ」


「ああ、おやすみ」


まあ今日のは許してやるかと心の中で呟き、我ながら甘いなと思いながらベランダに出て行く小牧の手を俺は掴んだ。




「おい。俺のパンツを持っていくんじゃない」




こいつはやっぱりおかしい。


そのあと数分に渡って俺のパンツ争奪戦が続いて結果何故か俺の今着てるシャツが持っていかれた。


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