第4話

小牧からの謎の告白をから数時間後、しばらく雑談を続けていたのだが…


「なあ?結局俺たちは何をしてるんだ?」


「楽しくお茶をしながら雑談をしているんじゃないかしら?」


「違う!俺は別に今何をしてるか聞いたんじゃない!ここ部活だろ!?なんか活動しろよ!」


俺は向かい合わせた机に座りながら優雅にいちごオレのパックを吸う小牧につっこんだ。


「まあ、なにも相談が来なければ基本はこうして雑談することしかやることはないじゃない。」


「ま、まあそうか…」


俺はふと思う。いったいこの部はいつ作られていつから活動しているのだろうか?


「なあ、この部っていつできたんだ?」


「一昨日よ。」


「歴史浅いなおい。」


まさかの一昨日であった。せめて1週間前くらいは覚悟していたがまさか一昨日とは…。


「で?相談事はきたのか?」


「ええ、もちろん。一件昨日きたわよ。」


「で?依頼内容は?」


「神坂先生の肩もみだったわ。」


「肩もみ!?」


それはボランティアではなくただのマッサージ部ではないか。


ちなみに神坂先生とは俺のクラスの担任の美人の先生だ。美人な表向きを裏腹におっさんくさい。よく俺に絡んでくる。


「まあ、そのうち依頼は来るわよ。暇なら何かゲームでもどうかしら?」


「ゲーム、か。いいだろう。何のゲームだ?」


俺は勝負事には自信があった。まあ多少卑怯なことはやっても全力で勝ちに行くからだ。


卑怯だの汚いだの姑息などいう輩はだいたい負け組なのだ。


「じゃあシンプルに古今東西ゲームなんてどう?」


「いいだろう。」


これはやったことはないがルールを理解している。このゲームの肝は自分がいかにたくさんお題のものを言えるかではない。

いかに自分が相手の言うことを潰せるかが勝負の鍵になる。


「そうね、ただやってもつまらないから罰ゲームを決めないかしら?」


「いいぜ。何がいい?」


俺は別にこいつに与える罰などないが、場合によってはこれは利用できる。


「ではシンプルに相手の言うことをなんでも聞くというのはどうかしら?」


「ほう?なんでもときたか。」


俺はしばし考え込む。なるほど、じゃあ勝ったらナニしてもいいんだな……げへへ。


おっと、まあそんなこと考えてないけどな。まあそういうこともできるってことだ。


「ええ、なんでも、あなたが私に何しても受け入れろといえば私は何もしないし脱げと言われれば、」


「おい待て。それ以上は言わなくていい。」


「あら、そう。」


といって小牧は朱に染まった頰に手を当ててニヤニヤした。うん。もう自由に考えればいいと思います。


「じゃあやろうぜ。お題は決めていいぞ。」


「あら、じゃあ私が先行ね。」


としばし考える姿勢をとりながら決まったと言わんばかりに頷いた。


「では、行くわよ、お題は好きな人のタイプ」


「え?ちょ、」


という間も無く小牧は二拍手していった。


「優しい。」


二拍手。

好きな人のタイプだと!?え、えちょ、ま、


「え、えぇと––––」


「神野くん。アウトよ」


「ずりぃ!」


こいつ、俺並みに卑怯だな!俺に好きな人がいないってわかっていてかつ好きになる理由で一番最初に思いつきそうな優しいを使うとか。


卑怯!姑息!

おっとデジャヴを感じたぜ。

こんなに早く終わる古今東西ゲーム見たことねえぞ。


「ふふ、私の勝ちね。」


「クソ、ずるいぞ。」


「お題を決めていいといったのは神野くんでしょう?」


「ちくしょう!」


ぐうの音も出ないくらいその通りだった。


「じゃあ何を命令しようかしら…」


終わった…完全に目がマジだ。何させられるんだ…?


「じゃ、じゃあ、私がいいっていうまで後ろからハグしてちょうだい。それでいいわ。」


「は、ハグだと!?」


ボッチの俺にいきなり校内トップクラスの美少女をハグしろとか!ハードル高すぎる。


「わ、わかった。」


俺は小牧を視界に入れないようにしながらゆっくりと小牧を俺の腕に包み込んだ。

な、なんだこれ!めっちゃいい匂いがする。


小牧はこれ以上力を込めたら潰れてしまうのではないかと思うほど華奢で、綺麗だった。


「はぅぅ…」


小牧は顔を真っ赤に染めて俯いている。


「な、なあ、もういいか?」


「まだ、ダメよ。」


このハグは部活動の完全終了時刻まで続いた。

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