第17話 ソーニャ、学校一のイケメンの彼女になる

 放課後。

 私は屋上に来ていまシタ。クラスメイトの男子に呼び出されたからデス。

「よく来てくれたね。ラーゲルフェルトさん」

 目の前にいるのは『この学校一のイケメン』と名高い、青山ミコトくん。

 こうして向き合ってみると、本当に整った顔立ちデス。芸能界でスターになっても不思議じゃない程。

 私は以前から、この人が気になっていまシタ……ん?

(大助)

 屋上の入り口から、大助……それに琴葉、剣崎さんがこちらを見ていマス。

 大助は何故か、ひどく落ち着かない様子。それを琴葉がなだめていマス。

(どうしたのでショウ)

 不思議に思っていると、青山君が口を開きまシタ。勇気を振り絞るように、

「ラーゲルフェルトさん」

「ハイ」

「つ、付き合って欲しい」

 ——瞬間。

 私の心は、喜びでいっぱいになりまシタ。

 これはつまり……


(肉便器への備えに、付き合って欲しいという事デスね!)


 青山ミコト君を、改めて見る——こんな可愛い男の子が、いるはずありまセン。

 髪はサラサラ。身長は150センチくらい。私を見上げてくる姿は小動物のような愛らしさ。 

 つまり、この子は凌辱エロゲーの定番である——


 男装女子なのデス。


 男装女子といえば、いずれ肉便器になる運命。胸に巻いているサラシは必ず、ひん剥かれるモノです。

 その時に備え、凌辱訓練に付き合って欲しいのでショウ。

(ついに……ついに、私の警告が届きまシタ!)

 ツイッターで『日本の学校は肉便器を育成するための機関』『いずれ来る凌辱に備えよ』などと、啓蒙けいもうした甲斐がありまシタ。

 私は嬉し涙を流しながら、

「ハイ……よろこんで……」

「え!? やったぁあ!」

 青山君は、飛び跳ねて大喜び。

 きっと凌辱にどう備えるか、一人で悩んできたのでショウ。これからは、私が一緒デス。

「うわぁああああ……ああああ……!!」

 突然の嗚咽。

 大助がくずおれ、手で目元を押さえていマス。

 きっと私に、同士ができたことを喜んでくれてるのですネ。



 翌日から早速、青山ミコト君……

 否、ミコト(名前で呼び合うようになりまシタ)の、凌辱対策を開始しまシタ。

 昼休みは二人きりで、屋上へ。ミコトへ弁当箱を差し出しマス。

「わぁ手作り? 嬉しいなぁ」

 ミコトは笑顔で弁当箱をあけ……

 素っ頓狂とんきょうな声をあげました。

「な、なにこれ!?」

 中には白いゲル状のものが、溢れんばかりに入っていマス。

「それは、疑似ぎじザーメンです」

「ぎ……ぎじざーめん??」

 不思議そうな顔をするミコト。

 そしてブツブツと、

「『ざーめん』って、まさか、あのザーメンのわけが無いし……ソーニャさんの祖国の料理かな……」

「ミコト。あーんしてくだサイ」

「あ、あーん」

 ミコトが口をあけました。恥ずかしいのか、目を閉じていマス。

(おお、エロい)

 桜色の唇は、リップを塗ったように艶々つやつや

 開いた口の大きさは、約4センチほど……日本人の亀頭きとうの平均直径とほぼ同じ。チ●ポをしごくために最適と言えマス。

(ミコトは、天性の肉便器デスね)

 そう思いつつ、バッグから水鉄砲を取り出し、そこに疑似ザーメンを詰めマス。

 そして——ミコトの口へ発射。

 ミコトは驚いたのか、目を見開き、

「わぁっ。なんで水鉄砲で食べさせるの!?」

 無論、射精の再現デス。

 ミコトは疑似ザーメンを舌の上で転がして、

「……あ、でもこれ美味しい」

(おお)

 ザーメンを美味しがることは、肉便器のたしなみ。

 幸先さいさきいいデスね。明日は顔射を再現すべく、顔にかけてみまショウ。

(では次の……ン?)

 私はミコトの左手をとり、じっと見つめマス。

「あなた、ヴァイオリンを弾きマスか?」

「え!? わかるの!?」

 左手の指先が膨れ、固くなっていマス。ヴァイオリニストはここでげんを押さえるのデス。

(私も、ピアノの心得こころえがありマスが……)

 それを始めた理由は、凌辱され、両手でチ●ポをしごく時に備えるためデス。

 まさかミコトも——

「ボク、両親からヴァイオリン習うよう言われたんだ。『いずれ役に立つかもしれないから』って」

「!」

 きっと、ご両親は……ミコトが肉便器になる時に、備えさせようとしたのでショウ。

 その愛が、私の胸を打ちマス。

「いいご両親デスね。いずれ私にも、会わせていただけマスか?」

「も、もちろん!」

 破顔するミコト。

 ご両親に会った際は『凌辱対策は私が引き継ぎマス』と、伝えてあげたいデス。

「あ〜、父さん母さんが、ソーニャさんみたいな美人見たらなんて言うかな」

 微笑むミコトを見つつ、考えマス。 

(ミコトが肉便器に備えることは、むろん必要ですが……)

 女だとバレないに、こした事はありまセン。

(次は、バレるリスクを下げる特訓をしまショウ)

 スマホを操作し、ある写真を開いて、

「ミコト。これを見てくだサイ」

「うん、わかった……って、何これぇ!?」

 悲鳴をあげるミコト。

 見せた写真は——

 笑顔でピースした私が、大助の勃起チ●ポで目隠ししているもの。以前ツイッターのプロフィール画面で使ったものデス。

「これソーニャさん!? ウ、ウソだろ……」

 ミコトはつらそうに、天を仰ぎまシタ。

(やはり、写真から目をそらしましたネ)

 男装女子が、女バレするキッカケで定番なのは……

(チ●ポやエロ本など『男なら見慣れているもの』に、照れてしまう事デス)

 以下のような流れデスね。

 

 チ●ポ等に照れる

 ↓

 『男なのに、怪しいぞ』と疑われる

 ↓

 女だとバレる

 ↓

 パコられる

 ↓

 肉便器


 こうならないためには、チ●ポに慣れることが肝要かんよう

 ゆえに、私はこの写真を見せたのデス。

「このチ●ポは、ソーニャさんの元彼? こんな淫らな写真を撮ってたの?」

 ミコトは天を仰いだまま、何か呟いていマス。

 その顔を掴み——強引に写真を見させマス。厳しいようですが、一刻も早くチ●ポに慣れさせねば。

「目をそらしては駄目デス」

 ミコトは泣きそうな顔をしていまシタが……

 やがて、覚悟を決めたように、

「わ、わかった。ソーニャさんにどんな過去があろうと、受け止めるよ」

(? なんのことデス?)

 怪訝けげんに思った時——

 

 キーン、コーン、カーン、コーン


 予鈴よれいがなりまシタ。あと五分で昼休みは終わりデス。

 ミコトが弁当箱を片付けつつ、

「じゃあそろそろ、教室に戻ろうか」

「あ、その前にプレゼントです」

「わぁ嬉しいよ……って、ええ!?」

 私が差し出したもの——ピンクローターに、ミコトが目を剥きまシタ。

「今すぐ着けてくだサイ」

 肉便器になったら、ピンクローターを装着して授業受けさせられるのは定番。早く慣れてもらわなくては。

 ミコトは死んだ目で、ブツブツと、

「そ、そんな……さっきの写真から垣間かいま見えたように、ソーニャさん、アブノーマルなの……?」

 私は、もう一つピンクローターを取り出して、

「早く装着を。私も同じものをつけますカラ」

「どんなペアルック!?」

 驚愕のミコト。

 ですがやがて、覚悟を決めたように、

「わ、わかった。君がそこまで望むなら、つけてくる」

 そう言って、屋上の入り口の陰——私からは、死角になる場所へ行きまシタ。

(?)

 女同士なのデスから、ここで一緒におま●こに挿入すればいいのに。



 それから連日、ミコトへの凌辱対策は続きました。

 昼休みは、水鉄砲での疑似ザーメン。

 授業中は、起動をランダムに設定したピンクローターに耐える特訓。

 夜は公園で、首輪と尻尾をつけてお散歩。

 密度の濃い特訓ができたと思いマス。

(でも)

 そのぶん、大助と過ごせる時間は減りまシタ。

 夕食の席で、大助にそのことを謝ると……

「君は、やりたいことをすればいい。僕は、ソーニャが笑顔なら……それでっ……」

 大助はそう言って、号泣。

(ああ)

 私が、ミコトへの凌辱対策を頑張ってる事——それを喜んでくれているのデスネ。理解ある男性って素敵!


 それはさておき、ミコトです。

 最初は凌辱対策に難色を示していまシタが……だんだん心待ちにするようになってきまシタ。

 自主的に、学校へピンクローターをつけてきたり。

 夜の公園での特訓では、ミコトは先に来ていて四つん這いで待っていたりしマス。その顔は完全にメス犬です。

 私は、ホッとしまシタ。

(これならきっと……肉便器になっても、強く生きていけるハズ)

 凌辱訓練は、そろそろ終了デス。

 ですがその前に——

(厳しい特訓に耐えたミコトに、ご褒美をあげなければ)

 


 ある日の放課後。

 私はミコトを、学校の敷地のはずれへ連れていきまシタ。人気ひとけは全くありまセン。

「どこへ行くのソーニャさん? あっあっあっ」

 喘いでいるのは、今日もピンクローターによる自主トレを行っているからでショウ。私と同様。

「ここデス」

 私は体育倉庫の前で、止まりまシタ。かなり古く、ほとんど使われていないようデス。

 きしむ引き戸をあけ、二人で中に入り、閉めマス。

「なんでこんな所に……ええっ!?」

 ミコトが驚いたのは、私が制服のリボンをほどきはじめたからデス。

 制服の上下、そしてブラウスも脱いでたたみました。

 下着姿デス。

 ミコトが、少し離れた場所で唖然あぜんとしていマス。

「さあ、好きに……してくだサイ」

「すすす、『好きにして』って。ここでするの!?」

「ええ。誰もこないでショウし、最適デス」

 ミコトを手招きしマス。

「ためこんでいた欲望を、解き放ってくだサイ」

「じゃ、じゃあ、いきます!」

 ミコトが向かってきまシタ。

 それを……手を伸ばして止めマス。リーチの差があるので、簡単デス。

「なぜ!?」

「それは私の台詞デス」 

 私は、たたんだ制服を指さし、

「好きにするのは、こっちデスよ? 早く着てみてくだサイ」

 ——ミコトは女の子。

 いまは男装しているものの、女の服を着たい時もあるでショウ。その願いを叶えてあげたいのデス。

「いいから遠慮セズに」

 呆然とするミコト。その制服の上下、ワイシャツを脱がせて下着姿にしマス。

 あ、トランクスを履いているのデスね。

(見えないところにも気を配った、男装デス……アレ?)


 トランクスの前が、恐ろしいほど隆起していマス。


(!?)

 まさかこれは……

(勃起チ●ポ!?)

 そんな——そんな馬鹿な!

 動揺を抑えつつ、尋ねマス。

「ミコト、これから変な質問をしマスが、驚かないでくだサイね」

「うん」

「貴方、男装した女子デスよね?」

 ミコトは、口をあんぐりあけたあと、


「いや驚くよ!? なにその質問!!」


 いきり立った股間を指さし、

「コレ見ればわかるでしょ!?」

 とても直視できまセン。

 例の写真で、大助の勃起チ●ポは見慣れてるのに……

 こんなザマでは、肉便器になった時どうするのか。情けないデス。

(そ、そういえば私……)

 いま下着姿デス!

「きゃあああああああ!!」

 胸を押さえて、しゃがみマス。

 人気ひとけのない体育倉庫で、男と二人きり。しかもこんな恰好で……これはもう、凌辱されてもおかしくありまセン。

 ——ですが。

「ソーニャさん、これを」

 ミコトが目をそらしつつ、私の服を差し出してきマス。

「物凄い勘違いがあったようだけど……制服を着てから聞かせてね」

(おお、紳士)

 感動した瞬間。


 ヴーッ


 ピンクローターの音が、ミコトの股間から聞こえてきまシタ。

「ああっ」

 ビクンビクン、と痙攣するミコト。おそらく射精してしまったのでショウ。私に背を向けまシタ。

(あ、あああ)

 私も真っ赤デス。

 本当なら疑似ザーメンの参考にすべく、リアルザーメンを観察させてもらうべきなのに……

 こんなことで、肉便器になった時やっていけるのでショウか。ふがいないデス。

 


 その後。

 私とミコトは服を着て、話し合いを開始。

 そして——衝撃の事実が発覚しまシタ。

「え!? ミコトは私のこと好きだったんデスか!?」

今更いまさらにも程がある!!」

 悲鳴をあげるミコト。

 大きな溜息をついて、

「どうしてボクが『男装女子』だと勘違いを?」

「とんでもなく可愛いですし、口の大きさが、日本人の亀頭の平均とおなじくらいでシタし」

「後者は『だから何?』としか言いようがない……」

 私は更に、自分の考えを説明しまシタ。 

 日本の高校が、肉便器育成の機関であること。

 女の子であるミコトは、肉便器を避けるべく男装していた。

「……ミコトが私に『付き合って』と言ったのは、凌辱される時に備えて『特訓に付き合って』という意味かと」

 説明するごとに、加速度的にミコトの目が死んでいきマス。

「異次元のような、勘違いをしてたんだね……」

 ミコトは大きく溜息。

 微笑みかけてきて、

「で、改めてソーニャさん……ボクと付き合って、くれるかな?」

 土下座し、額を床にこすりつけまシタ。


「ご——ごめんなサイッ!! 好きな人いるノデ……!」


 申し訳なさで一杯デス。

 そんな私に、ミコトは優しく言いマス。

「『好きな人』って、もしかして——あの写真で、ソーニャさんを勃起チ●ポで目隠ししてた人?」

「!」

 頬が熱くなりマス。

「ハ、ハイ。包茎ほうけいデスが優しくて、一緒にいると安心できて」

「包茎情報いる? ……まあそれはともかく。君がその男性と、幸せになれる事を願っているよ」

 なんていい人。さらに申し訳なくなりマス。

「私は、あなたに不要な凌辱特訓をしまシタ。それも謝らないと」

「大丈夫——」

 ミコトはウットリ目を細め、

「ピンクローターで責められたり、公園で散歩させられたりするよろこびを知れたんだ。そこはむしろ感謝してるよ」

 この言葉で、随分ずいぶん救われまシタ。

 ですが、ケジメはつけなければなりまセン。

「いずれ改めて、お詫びさせてくだサイ」 

「そんなのいいよ」

 首を振るミコトですが、そういう訳にはいきまセン。

 私に出来るお詫び——そうだ!

「私が肉便器になって輪姦される際は、手やアナルではなく、おま●こを使ってくだサイね!」

 またもミコトの目が死にまシタ。あれ?

「どうしたんデス? おま●こという、輪姦の上座かみざを用意するというのに」

「そんなもんに上座はないよ!!」

 全く非常識な、とプンスカするミコト。

 改めて話し合った結果——

 お詫びは結局『時々でいいから、四つん這いのミコトを夜の公園で散歩させること』に落ち着きまシタ。

 




後書き:連載のモチベーションにつながるので、

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