現実逃避で国外逃亡(3)

温泉に向かう途中にバッティングセンターがあり

少しそこで寄り道をして、運動することにした。


運動とは不思議と心と体を軽くしてくれる

ボールを打った時の爽快感

重い気持ちも飛ばしてくれた


軽い運動を終えて

田舎だがそこそこ大きな温泉に来た


温泉で背中、涙は流せた


でもこの気持ちはやっぱり簡単に流せなかったので

奮発してお昼にこの辺では有名な天丼を食べた


おいしい


確かにおいしいが、今の気分では箸が重くなる

油でお腹も重くなってしまった。


それでも、

空港にいた時よりは全然気持ちは軽くなっていた


家に向かっている帰り道で


「出国できないなんて日本中さがしてもお前くらいだぜ。元気だせよ。」


「うん」


「結果、明日行くんだからさ、結果オーライでしょ?」


「確かにな」


「見送りに来てくれた人と帰ってるとか貴重な人生経験じゃん」


「その発想天才かよ。」


「早速、貴重な体験したわ、明日は絶対出国できるし、もう一日だけ、日本の大地を踏みしめるわ。」


もりが慰めてくれた。


友達の慰めには単純な僕


やはり持つべきものは友だ


家について、もりに「行ってらっしゃい」 と言われ


「ここは「ただいま」っていう場所だけどね、

行ってきます。」と出国前、最後の会話をした。


「ただいまー」


家に帰って来ちゃうと母は「どうしたの!?」 と

驚きながら目を丸くして聞いてきた


事情を説明すると...


母は大爆笑して、またいつものようにテレビを見た。


やはりいつもと違うのは僕だけだった


翌日


空港に少し早めに向かいチェックインカウンターヘ


対応してくれたグランドスタッフの方は、昨日と同じ人だ


「あ、おはようございます。今日は出国できますよ

気を付けていってきてくださいね。」


「よかった~やっと現実逃避しに海外逃亡できる!!」


なんだかんだあったけど心は踊りに踊ってる


見たことのない景色を見に僕は出発ゲートを潜り


飛行機へ...!


「お客様!!荷物忘れてます!!!!」


久々の飛行機で要領を忘れていた


手荷物検査を通って、そのまま荷物を受け取らず飛行機に乗ろうとしていた。

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