第二章 生き違い

電球の光に誘われて、想い伏せる

ピンポーン





ブゥーン





エレベーターが一階に到着し、カップルが降りてきた。


男「今日はどこに食べにいく?」

女「駅前のラーメン屋に行こうや。」

男「ほんまラーメン好きや。」

女「だってあそこの豚骨ラーメンうまいもん!」


年齢は20代前半頃だろうか。

男は、茶髪で2ブロックで、三代目 J SOUL BROTHERSにいそうな今時の髪型で、

黒の上下スウェットの服装をしている。靴はナイキのエアジェーダンだったが、ところどころカラフルに彩られていた。

女の方は、黒髪でショートカット、大きなベージュのワンボタンコートを着て、サングラスをし、ダークグレーの緩めの紐パンを履いていた。

男の腕にしがみ付くように腕を組み、デレデレしていた。


みんなが理想とするカップル像なのかわからないが、

よく見かけるカップルの雰囲気だ。


『イチャイチャしやがって、なんの見せつけや』っとリア充なカップルを見ながら、

私も女性と付き合っていたら、このカップルのようにくっ付いて、イチャイチャしているのだろうかと思った。




ある人のことを思いながら、私はエレベーターに乗り、8階の自分の家に向かった。


部屋に着き、すぐに手紙を読もうかと思ったが、家に着くと、一気に力が抜けるというべきか、

脱力感に襲われる。

20代の頃は思わなかったが、30代になり、予想以上に疲れがどっと出てくる。


まずはお風呂に入りたかったから、すぐに浴槽にお湯を張り、身体ごと一気に湯槽に突っ込んだ。


私「はぁ〜〜。」


お風呂は気持ちいい。

全身の力が抜けていく。

目をつぶると、寝てしまいそうなぐらい心地良い。





私は天井の電球を見つめながら、また昔のことを思い出していた。


人生とは複雑だ。

順風満帆にいくものだと、子供の頃はそう思うものだ。

純粋にこのまま幸せでいられる。楽しく生きていけると思う。

けどそんな簡単にうまくいくわけがない。

必ずなにか大きい障害にぶつかるものだ。

偶然だったのか。それとも必然だったのか。

当時はそんなこと考えもしなかったけど、なんの前触れもなく、小さな歯車から大きな歯車へと絡み合い、人生を狂わせていく。

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