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橋倉 輝

出会い

第1話 人生終わり

私、水野 百合みずの ゆり、人生終了のお知らせを致します。


今日は高校受験結果発表の日。

見事に落ちていた。


周りは泣いている子が沢山いたが、どちらの意味で泣いているのかは分からない。


でも私は、ただただ掲示板の前で立ち尽くし力の抜けそうな足を頑張って支えて立っていた。


「うそ…でしょ…。」


何度見ても自分の番号は無く高校の門を背に頭の中を真っ白にして家へと帰る。


私の家族はいわゆる、エリート集団である。

母は国際弁護士、父は外科医、兄2人は警察官で、少し上の方にいる。下には妹がいるがその妹は中学受験に合格しており現在はお嬢様学校の学年1位をキープしているらしい。


そんな家庭で生まれた私には、なんの才能も無く、両親、兄妹共に見下されるような生活を送っていた。

せめて国立大学には行ってくれという両親の要望で県内トップで頭のいい進学校を受けさせられた。

この高校は母の卒業校ということもあり、絶対に落ちないようにとかなりのプレッシャーをかけられていた。


そんな私は今、受験に失敗し、最悪な事態を想定して足取りを重く感じながらもいつもの道を歩く。


家はすぐそこ、だが足は進まず家の前まで来てついに止まってしまった。


すると、中から父が出てきて早く入れと顎で急かされる。


中には家族みんな揃っており貶す準備が出来ていると言わんばかりに兄たちはニヤニヤと薄気味悪い笑みを浮かべていた。


「で、結果は?まぁ当然合格なのでしょうけど。お祝いのためにお兄さんたちも来てくれてるんだし、何か食べに行きましょうか。」


母が妹の頭を撫でながら私に言葉を投げてくる。


「ごめんなさい。落ちました。」


その一言を聞いた瞬間母は私の前に仁王立ちした。


これはいつものやつだ。


私はゆっくりと膝をつき両手を膝の前につきゆっくりと頭を床に着けた。


「すみません。私の頭が悪いばかりに皆さんのイメージを悪くしてしまいました。本当にすみません。」


そんな私を囲むように冷たい目を向けてくる家族。


本当にこれが私と血が繋がった人間なのか、

逆だ。

この人たちと血が繋がっているのは私の方だ。


だからこそ、この扱いなのだ。


「滑り止めの高校は?」


「受かってます。」


「あそこは寮だったよな?」


つまり、出て行け。

父は遠回しに私にそう言いかける。


「寮に行かせてください。」


私に言わせる。

この日、私の人生は終わった。




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