第5話

その日は、あっさりとした一日であった。普通に一つの依頼をこなしつつ、適当に山の中を荷台を持ちながら他のモンスターを狩っていた


刀の試し切りをしたくて、荷台に狩ったモンスターを山のように乗せた


比喩ではなく、山のようにだ。


(まあ、これを持っていけば嫌でも騒ぎになるよな!ミナミさんなら、これで、ハリケーンを起こすところなんだが、、今日はツバキさんだし、せいぜい土砂降りかな?)


そんなことを考えながら、山のように積んだモンスターを運ぶ。意外と運ぶのが難しい


(こんなに、積んじゃうと崩れないか、心配だな、、、目立つためにあえてタワーみたいに積んだが、崩れないよな?)


荷台に積んだモンスターを崩さないように、運んでいく。


意外と慎重な作業だ。



(フフフ、皆の驚く顔が目に浮かぶ、、)


運ぶのに時間がかかり、気づけば日が落ち始めていた。


「合計で、800000万エーテルね。置いておくわ」


「ああ、、、、」


(あれ~?あんまり驚かない。荷台を運んで来た時は、村の人たちは驚いたのに、、この人は驚かない、、その辺の冒険者ですら驚いたのに、、、)


ツバキは当然のように告げた。少しは驚くと思っていたため少し残念



「それと、あんな山のように積まないで、もっと平らに均等に積んで欲しいわ。あれだと、降ろすときに凄く大変だから。」


「ああ、、、気を付けよう、、、」


(そこには、突っ込まないでほしかった。、、、)


かなりの辛口口調だが、気にしてない感じを出す。彼女は思ったことをすぐに言ってしまうのでかなり心には来る

そこに、二人の職員がツバキの横から出てきた。


「気にしないで、マドウさん。」


「そうそう、ツバキはちょっと、マドウ君の前だと素直になれないんだよね」


このギルドの職員で、姉妹のスイラン・グトルー。とハラン・グトルーだ。

両者とも、短髪で青い髪と青い目。



「ちょっと、変なこと言わないで。」


「あら、そんなこと言って尻尾をこんなに振っているのに?」


姉妹のお姉さんの方である、スイランがツバキのしっぽを掴んだ。しっぽはかなり敏感なので、反応は正直だ。


「ちょ、、今は仕事中、、なの」


「マドウ君の事を信頼してるから、つい理想が高くなっちゃうんだって。」


妹の方のハランが、マドウに話しかける。マドウは何とも言えない、顔をする


「勝手に、、いう、な」


「あら、貴方が素直になれないから、代わりに言ってあげてるだけなのに」


尻尾をさすりながら、スイランは手のかかる子供をあやすように、同時にからかいながら話した



「ちょっと、、いい加減に、、して」


「ほーら、ここがいいの?」


「ぼくも触る~」


ハランも参戦して、ツバキのしっぽを触りだす。ツバキは頬を赤くし、歯を食いしばって耐えていた


(ギルドの職員が何やってんだ?絵面がとんでもないんだが、、、ヤバいあんまり見てるとイメージが崩れる、、、)


周りの冒険者達も、チラチラ見ていた。マドウはイメージを崩さないように無表情を貫いていたが、そろそろ限界だ


「いい、かげん、、、に」


「もしかして、ツバキさんってМ?」


「確かに、あんまり嫌がってないように見える!」


そのまま、少し強引に触り始めた


「ふぁ、、、」


尻尾を二人でさすりながら、からかいを止めない。ツバキから変な声も出始めた。慌てて手を口に当てて声を抑える。

いや、嫌がってるだろと突っ込みたくなるが、だれも止めない。眼福だからだ



「その辺にしてあげたら、どうだ?」


「そうね。この辺にしてあげましょうか?」


「うん。十分楽しめたからね」


二人は満足そうに、尻尾から手を離した。ツバキは脱力したように机に肘をついた


「はあ、はあ、許さないわよ。貴方達。」


まだ顔を赤くしながら、睨みつける。しかし、スイランたちはどこ吹く風だ。


「、、もう俺は帰るぞ、、」


「お疲れさまでした。」


「お疲れ様。またね」


そのまま、脱力して机から動けない。ツバキを気にせず帰って行った


マドウが帰ると、ツバキが八重歯を煌めかせ怒りの表情。


「そんなに、怒らないでください」


「そうそう、じれったくてさ。」


「これで、マドウ君の中の、私に変なイメージが着いたらどうするの?」


姉妹は顔を見合わせ、にやりと笑った。その笑みを見て寒気がした


「あら、?やっぱりマドウさんに、変なイメージを持たれるのは嫌なんですね?」


「まあ~。分かってたけどね。」


売り言葉に買い言葉のような感じで、思わず言ってしまったので後悔しても遅い

やってしまったと思いツバキは顔を赤くした


その後は、姉妹にからかわれまくった



「ご主人様。今日は、余りトレーニングに集中できてないようですけど?」


「そんなことない、、」


腕立てのしているマドウの上に、リリィは座りながら本を読みさらにダメ出し。


「何か、ありました?」


本を読みながら、興味ない感じで聞いているが意外としっかり見ている。

マドウは今日の、ギルド職員の悶える姿を思い出していた。

やはり、刺激が強く。印象が強い、普段が冷たい分余計に印象が強かった


「いや、別に」


誤魔化すが、嘘だとバレ指先が背中に当たる。重力が強くなる

今回はかなり、というか毎回、ハードだ。


「お、、、い」


「集中できるように、してあげました♡」


にやりと笑い、辛そうにするマドウを見た。マドウはクソがと言いながらも続けた


「はあーはあー。終わったぞ。。」


「お疲れ様です。今日は大分控えめにしておいたので、余裕そうですね」



両腕を下に着き、さらに汗だくなのに余裕だという。余裕でない事は分かっているはずだ、、本を閉じ立ち上がった


「お、、い控えめじゃ、、ないぞ、、」



その言葉を無視して、リビングに行ってしまう。


「く、、そ、、はあ、はあ」


息が整わず、地面に倒れる。なかなか立ち上がれない。


(喉乾いた、、、水)


水分は欲しいが、疲れて立てる気になれない

すると、祈りが通じたのかリリィがコップに入った水を持ってきた


「ほーら。お水ですよ。」


上で、コップを持ちながら揺らす。中のの中で水がコップで揺れている


ゴクリとつばを飲み、仰向けのまま手を伸ばす


「よこせ、、」


「自分で、取ってくださいよ」


上で、水を揺らしながらマドウに簡単のあげようとしない。リリィは見下ろしたまま上げようとしない


「体が、、だるい、」


「もう、仕方ないですね♡」



そう言うと、コップを口に近づけるのかと思いきや、水を直接上からこぼした。

マドウの顔に向かってコップからの、水が落ちる


あまりに予想外過ぎてぎょっとするが、のどの渇きには勝てず口を開けた。水が入るが一部入らなく、汗で濡れていた服がさらに濡れる。


「ゴク、、ゴク」


「フフフ、」


(こいつ、笑ってやがる。ドSすぎないか?)



上から見下ろし、口で水を飲んでいる。マドウを見て恍惚の表情。

こいつ、ヤバいと思うが水には勝てなかった


コップ内の水を全て、飲み干して喉が潤う。呼吸も落ち着いた。


「それでは、早いところお風呂に入ってください。」


終わるとすぐに、ふろに入るように指示。怒涛の展開になりながらも何とか、叫ばず耐える。マドウは上でずっと見下ろしているリリィを見て、毎日思うことがある


(もうこれ以上、トレーニングする必要あるか?俺この村では、最強なんだけどな、、、)



しかし、この時は思いもしなかった。まさかの次の日に自身にとって、最強であり、最恐の敵が。


マドウが最も嫌う奴が来るとは、、、この時は予想もしていなかった


















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