第二話 本領発揮☆

すると学園の天使とまで称される柑奈咲が柄の悪そうなデカイ男二人に掴まれていた。


 俺は痛いのは嫌だから、防御力に極振りしようとしてもできないため警察を呼ぼうと携帯を取り出すが、運悪く妹から電話がかかってきた「プルルルル プルルルルル」とその場にそぐわない気の抜けた電子音が響く、それに気づいた男達と柑奈咲はこちらを振り返る。


 男達は「ちっ」と舌打ちを立て、こちらを睨んでくる。


 対して柑奈咲は一瞬嬉しそうにこちらをみたが、すぐに俺を見ると力なく俯いている。


 俺で悪かったなと心の中で申し訳なさを感じてしまう。

    

 柑奈咲に、そして、、、、、、、、  




 

 

       『男達にも』









決断してからの俺はとてつもなく速かった。


 足に力をいれて地面をける、一瞬で一人の男の間合いに入り込みこめかみに手刀で衝撃を与える。


「くああう」と言葉にならない呻き声をあげて、気絶した。


 もう一人の男は柑奈咲を投げ飛ばす。


「きゃっ」と柑奈咲は地面に倒れるが、男は構わずこちらに「死ねぇぇぇ」と声をあげて殴りかかって来る。


 俺はそれをギリギリまで動かず右手で携帯を縦に回転させるように投げる。


 すると一瞬だけ男の視線が携帯に向く。



 それを確認すると、俺は無駄のない回し蹴りで男を沈め、すかさず携帯をキャッチする。


 そして、一呼吸置くと振り返り柑奈咲の方を見た。


「怪我はなさそうでよかった。一応今日は親に連絡して迎えに来てもらった方がいいぞ」とだけ言い残し、その場を離れようとするが柑奈咲が声をあげた。


「ありがとうございます。あなたはうちの学校ですよね」

 しかし、俺はそれを無視して歩き出す。知られたらカースト トップ達にどんな目にされるか怖くて想像もしたくない。


 「あいつって柑奈咲に好かれてるけど、正直キモくなーい?笑」そんなことを言われたら俺は生きていける気がしない。


 悪いな 柑奈咲と心の中で詫びを入れる。これは戦略的撤退だ。


 柑奈咲が「あっ まってk」と言っていたが最後まで聞き取ることはできなかった。

 そして、俺は一気にスピードを上げ裏路地を抜ける。


 

『この時の俺はまだ知らない。ここから始まるラブコメを』



 

 その場に取り残された柑奈咲は嬉しそうにやにやしていた。


 もしかしたら、知れるのかもしれない恋という気持ちを、、



「それにしても怖かったですねー。明日からはSPを付けることも検討しなくては」

 実は、この女大企業の令嬢なのである。



          

 『この時の私はまだ知らない。ここから始まるラブコメを』 


     

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