イノセの日記・2

───前途多難としか言えないスタートだ。


ちょっとした油断で父からの大事な賜り物を奪われただけでなく、自分達の干渉のせいでストーリーテラーの怒りに触れ、犠牲者まで出してしまった。


カオステラーもいない想区の『運命』を、自分達が乱してしまうなど、本末転倒もいいところである。こんなこと、両親になんと言えばいいのだろうか。大失態もいいところである。


それに、あの奴隷少女を焚き付けるようなあの発言も、今思えばかなりリスクが高かった。

彼女の不満を皮切りに奴隷達が不満を爆発させた時、あの奴隷達の誰かがカオステラーになってもおかしくはなかった。あのまま収まってくれたこと自体が奇跡とも言える。

今後は自分の発言にも慎重にならなければ。


そして、何よりも困ったことは───


唇を奪っていったロードピスの柔らかい感触が、未だに残っているということ。

一体どうすれば、この火照りを沈められるのだろうか…。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る