イノセの日記・1

---両親の課した試験に合格し、正式に旅を認められることになった。


 だが自分にこの大役が勤まるか、「調律の巫女」である母や「再編の魔女」と呼ばれた少女(今なら『女性』と言うべきか。)のように上手くできるのか、いまだに疑問が拭えない。


 拭えないと言えば、先日襲ってきたカオステラーの言葉の真意は、いまだにわからない。だが、彼の様子を見ると、ただ単にこちらのことを惑わそうとして言ったとは、どうしても思えない。

 あのカオステラーは、結局何者だったのだろうか。


 未だ疑問や疑心は尽きないが、今はいくら考えても仕方があるまい。

 せっかく両親やお世話になった皆に祝ってもらった門出である。今はただ、その期待に応えられるよう、前に進むだけだ。


 まずは「グリムノーツの想区」で自分が「調律」の力を使える術を見いださなければならない。

 何か良い方法が見いだせれば良いのだが。


 ここに、僕たちの旅の始まりを記録する。ーーー


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