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 ……あ、千弘くん? どう? そっちは。



 そっか。うん、千弘くんのせいじゃないよ。気にしないで。



 お、よく覚えてたね。その通りだよ。茅野美鶴くん。期待の新人くんです。



 あはは、ばれたか。でもまあ、夏生くんなら焦って美鶴くんに言いかねないからね。こういうの、人伝に聞いたって信じられないじゃない? 自分で見ないと理解できないこともあるんだよ。



 安心してよ。僕も千弘くんの趣味は理解できないから。



 ふふっ、人間なんてそんなものじゃない? 理解した振りをして……あ、でも君ならできるのか、理解。



 でも他の人よりは有利だよ。理解させることもできるでしょ。



 本当によく分からない人だね千弘くん。面白いなー。

 ……ところで、本題。いい?



 やっぱり、ね。周囲の人間はどう?



 うん。大丈夫だよ。千弘くんが影響されちゃったら、それこそ怖いから。安全な位置から見てるくらいでちょうどいい。



 そうかもしれないね。でもあの人達は事件が起きないと動けないからさ。取材だって言って僕が行ってもいいんだけどー……



 冷たいなー、これでも君たちのリーダーなのに。あんまり酷いこと言われると泣いちゃうよ?



 うん、それでお願い。内部調査は、夏生くんと美鶴くんにお願いしようかなって。



 駄目だよ。君がいたらまた夏生くん大暴れして、全部駄目にしちゃう。君がいる時の夏生くん、まさに破壊神なんだから。



 修理費って意外と嵩むんだよ……っていうか、元はと言えば千弘くんのせいだからね?



 まったく……そうだ、暴力は動いてる様子ある?



 ……そう。大人しいと大人しいで気になる人達だけど、今は静観しかないかなあ。



 とはいえ僕達は、何かが起こる前に動き出すこともできるからね。警察より自由度はあると思うよ。



 そのあたりは黒衣と警察が上手く片付けるだろうし、千弘くんは何もしなくていいよ。Ⅱ型?



 ……能力者だけじゃない。異形の様子もおかしいよね、最近。もしかして、どこかに巣を作っちゃってるのかも。



 だから、次は夏生くんと千弘くんに一緒に出てもらおうかなって。その間の監視は紅くんにお願いしようと思ってる。当然美鶴くんも一緒だけど、君達なら彼を守り切れるでしょ?



 そうだね。あっそうだ、冷蔵庫に君の分のフルーツタルトがあるから、食べちゃってね!



 美鶴くんの歓迎会したんだよー。帰ってきたら、彼にも自己紹介しておいてね。



 そこまでは僕も知らないよ。そもそも、彼は未成年だから。



 あはははっ! 世界で一番どうでもいい情報ありがとー!



 様子は?



 そっか。分かった。もう戻って──



 ……………………。



 えっなになに? こっちには何も聞こえなかったけど。何かあった?



 それが夏生くんの良いところだと思うよ〜。夏生お兄ちゃんが新人くんに優しくしてくれて、パパは嬉しいな〜。



 紅くんは君達のお姉ちゃんでしょ。真面目で、自分のことに不器用で、鬱とかなりやすいタイプのお姉ちゃん。



 うん?



 ……そっか。美鶴くんも、これでこちら側の人間になったかな。まだ慣れは必要だけど、一度経験してしまえば抵抗は薄れる。



 あはは。君がうちにいてくれる限り、僕は君の味方だよ。



 うん、戻ってきて。夏生くんが君と会えるの楽しみにしてたから、きっと喜ぶよ。



 はーい、気をつけてねー。

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